第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 05 - 英雄達
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 05 - 英雄達
このまま接近を待つことなくさよならしても良かったのだが、さすがにまともな手がかりも無しに帰る方法を探すよりは、少しでも情報を得られた方がいいので待つことにする。
俺の方から迎えにいけば早いのだが、探している人間が両方とも動き回るというのは迷子になる可能性大なので動かないでおく。
それに、一応ここは戦場のど真ん中らしいので、目立つ動きは避けておきたい。
もっとも、到着まではさほど時間はかからなかった。
亜光速ではなく超光速でやってきたからだ。
超光速と言っても、何も本当に光速の壁を突破したとかそういうわけではなく、たんなるハイパードライブのことだ。
ただ、ハイパードライブは実空間と高次元空間が重なる形で移動することになるので、俺にも気を感じることができたのである。
まぁ小難しい話はこれくらいにして、到着した航宙艦を確認する。
ティアドロップ型の航宙艦なのだが、間近に来ても星の光が視界から消えたことでそれと気づく感じだ。
近くに太陽もなく、航宙艦にも光源となるようなものは存在していないので、気を捉えていなければ目視確認はほぼ不可能だ。
そもそも宇宙空間で航宙艦が単体で動くと、ほぼ潜水艦のようなものである。
それでも数十万規模の戦艦や巡洋艦で構成された艦隊が動けば、さすがに探査可能なのだが、単独で動く小型の航宙艦だと極めて見つけにくい。
今俺の前に来て止まった航宙艦も、そういった小型の航宙艦であった。
もちろんこの宇宙で直接、戦艦級、重巡洋艦級、軽巡洋艦級、駆逐艦級、そして空母級といった艦艇を見たことがあるわけではないが、軍用艦などデザインの差があるくらいでどこの宇宙でも似たようなものだ。
それに、あれだけ大規模な艦隊運営を行っているなら、多種多様な艦艇を用意しているはずである。
まったく同級の艦艇ばかりだと、戦術の幅が限られてくるからである。
そんなことを考えていると、目の前に止まった航宙艦の外殻の一部が開いた。
確認するまでもなくエアロックだ。おそらく、乗れと言っているのだろう。
迷う理由などなかったので、俺はこの誘いに乗る。
開いた場所から中に入ると、まず外のハッチが締まった。
すぐにエアロック内に空気が満たされる。
俺はここでフェイズシフトの状態を解き、ノーマルに戻る。
深呼吸すると、肺に酸素が満たされた。