第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 04 - 転移
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 04 - 転移
フェイズ2にシフトを行い、有酸素活動から離脱する。
俺の周囲には気を感じない。どうやら、俺は一人だけで放り出されたようである。
星々の煌めきの中に、あちこちで球体状の光が広がっているのが見える。
見覚えのある光であったが、気の探索範囲を広げて確認することにする。
球体の中には多数の気が存在して、それが一瞬で消えていっている。
俺が想像していた通り、時折光っては消えていく。球体は航宙艦の爆発によって起きる輝きであった。
どうやら二つの勢力による小規模な戦闘が行われているようだ。
ただ、戦闘が行われている場所は非常に限定的であるが、その両サイドには大規模な艦隊が控えている模様だった。
ざっとした数字だが、規模は双方とも二十万程度。被害状況は拮抗している感じである。
見たところ、戦力も戦術も拮抗していて、決め手がないまま延々と小競り合いを続けているといった雰囲気である。
正直俺には関係ないので、探索範囲を銀河の外へと広げる。
だが、地球は感じられなかった。
一つの銀河にすぎないが、俺の感じた印象からすると、どうもこの宇宙に地球は存在していない。
わざわざ俺をこんなところに飛ばしたのだ。
同じ宇宙に飛ばしたならすぐに帰宅することは分かりきっている。
おそらくは俺だけの可能性が高いが、その点についてはこれから把握すればいい話である。
そうはいっても、俺が飛ばされたのは戦場と言っても宇宙空間である。
ここからどうしろというのかわからない。
どちらかの勢力に加担しろと言っているのかもしれないが、そうなると深くかかわり過ぎて足を抜け出せなくなる可能性が高くなるので、そんなことはごめん被る。
なんにしても、これ以上ややこしい状況に自分から突っ込んでいく必要はあるまい。
どこかの有人惑星で情報を仕入れて、帰るための情報を収集するほうがいいだろう。
などと考えていると、記憶にある気を見つけてしまった。
ここに飛ばされる直前に集められたあの部屋にいた。
向こうも俺のことに気づいたらしく、接近してくる。
ただ俺と違って、宇宙に放り出されたわけではなく、ちゃんと何かに乗っているようだ。
さすがに俺のような扱いを誰にでもするというわけではないらしい。
普通なら確実に死んでいるからだ。