第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 03 - 英雄達
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 03 - 英雄達
俺は状況がわかるまで周囲を気で探ってみることにする。
気の大小はあるが、大部分が戦闘を得意とするやつらではなさそうだ。
ただその中でも、気になったやつはいる。
気の大きさとかではなく、存在そのものの持つ雰囲気である。
知らないふりも出来たが、向こうも俺のことに気づいたので、俺は遠慮なくそいつを確認する。
一人目はネコだ。それも二足歩行をするネコだ。
大きさはともかく、そいつを見ているとかなりやっかいそうな香りがプンプンと漂ってくる。
俺が見ていることに気づいたのか、そいつも俺のことを見てきた。
一瞬だが目が合い、お互いを認識した。
二人目は鳥だ。ただ、こういった状況下で想像するような猛禽類ではなく、雀のでかいやつだった。それはそれで、怖い気もするが顔だけ見ていると確実に気が抜ける。
そいつも俺の視線に気づいていた。
そして三人目は人間だった。もちろん見かけの話だが。
この三人目が俺にとっては、一番の鬼門かもしれない。
というのも、どこからどう見ても人間の女にしか見えなかったからだ。
しかもとびっきりの美女であるが、そのことがさらに俺の警戒心を煽っている。
最近、美女とか美少女とかと関わってろくな目にあっていない。
俺の視線を感じてかすぐに向こうも俺を見たが、俺はすぐに目をそらす。
もちろん関わり合いたくないからだ。
ほどなくして、どこからか方角がまったくつかめない所から声が聞こえてくる。
「やぁ、英雄諸君。君たちはこれからランダムにチームを組んで闘ってもらうことになる。闘う場所も方法もそして条件も、まったく不特定に決まる。もちろん公正さなんてないし、公平に決まるわけでもない。負けても負けたこと以上のペナルティが課されることはない。でも、闘いが終わって勝利した者は、いかなる願いも叶えよう。我は君たちの言う所の創造主だ。君たちが願う程度のことなら、どのような願いであれ叶えることは造作もないこと。そのことは確約する。英雄諸君はただ闘えばいい。健闘を祈る」
そこまでで声は消えた。
ろくな説明もなく、ただ単にバトルロワイヤルの開会宣言をしただけだった。
訝しむ暇もなく、俺はまた転移させられる。
今度は実にわかりやすい場所だった。
闇の中に一切瞬くことのない無数の星が煌く。
真空ゆえの絶対的な透明さ。
宇宙空間であった。