第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 64 - 結果発表
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 64 - 結果発表
「長らくお待たせいたしました。それでは今から、結果発表を行います! それでは、決勝戦に出場いたしました、はちみつパンプキンωとワルキューレ☆ハートに登場してもらいましょう!」
司会が高らかに宣言すると、ミュージックに合わせて両ユニットが舞台の左右からそれぞれ登場してくる。
ワルキューレ☆ハートはともかく、はちみつパンプキンωのメンバーがしっかりと歩いてステージに登ることができるか心配だったが、なんとかやれたようだ。
もっとも、小島は後ろにいたアイカから微妙に支えられていたが、よく見ないとわからない程度のものであった。
もっともわかったところで、そこまで闘ったと称える者はいるだろうが、笑う者はなどいないだろう。
それでも、自分の足で立ち結果発表に望むというのは、小島が自分の胸の内に秘めた挟持なのだろう。
司会者がステージの前に出てくる。
この時ばかりは目立たなくてはならない。
「さぁ、全員が揃いました。これから結果発表となりますが、なんと結果を読み上げてくれるために、とんでもないゲストがおいでになられています」
司会者の言葉と共に、ミュージックが変わる。
出来る限り期待を盛り上げるためだ。
ここまで気を持たせるゲストとは一体誰なのだろうか?
誰もがそう考える。
さすがに、ここまで期待を煽ると、生半可なゲストでは客が白けてしまうだろう。
「さて、登場いただきましょう。ルートワース大統領カンム閣下です!」
説明されると同時に、舞台の下からカンム大統領がせり上がってくる。
複数のスポットライトがカンム大統領に集中した。
光の中で右手を上げると、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こる。
さすがにこの場に、現役大統領が姿を現すことを予想していたものは皆無だろう。
地下にいることを知っていた俺ですら、まさか本当に出てくるとは予想外だった。
カンム大統領が舞台の中央にくると、司会者と並んで止まる。
「大統領、ようこそおいで頂きました!」
横に並んだカンム大統領に司会者が話しかける。
いたって普通の呼びかけである。
カンム大統領は軽く右手を上げて答えていた。
そのカンム大統領に向かって、舞台袖から一人の少女が歩いて近づいていく。
手には黒い封筒が握られていた。
そして、カンム大統領に封筒を手渡すと再び舞台を降りていく。
封筒を手に持ったカンム大統領が、一人舞台の前に出て封筒を開く。