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第02話 VSヴァンパイア!-22 - 後始末4

「ええっ……み、見捨てないでくださいぃぃ!! お願いしますぅ、ごしゅじんさまぁ!!」


 なぜにそうなるのか、どうにも理解に苦しむが、チロはまた俺の足にすがりついて来やがった。

 涙も鼻水も復活である。

 このまま蹴り飛ばしてやれたらすっきりするのだろうが、ここは日本だ半ば治外法権的な場所である校内とは言っても俺自身の立場があやうくなるようなマネなどできるわけがない。

 この場は、迂遠な方法をとる必要がある。

 つまり、説得するのだ。


「見捨てるとは言ってない。俺のことを、鳴瀬と呼べばいい。ただそれだけだ」


 クラスメイトが普通に呼んでいる呼び方だ、これなら問題がない。


「でも、ごしゅじんさまはごしゅじんさまです。そんな恐れ多いことなんてできません!」


 なぜに、呼び方ごときにそこまでこだわるのかは理解できないが、ここで強く出ればまた泣きだしてすがりつかれることになる。

 もうこれ以上、俺のズボンをこいつの体液まみれにするのは忍びなかった。


「では、なんらかの方法で翻訳しているのをやめろ」


 さっきからさんざんこいつが大声を出しているのに反応がないのは、魔法とかそういう力で翻訳が効力を発する範囲を超えているからだろう。

 そのことは、斉藤の反応を見ればすぐにわかる。こいつが、聞いたこともない言葉を使う変人扱いされる分にはいっこうにかまわない。

 後は俺がこいつと極力関わらないようにすればいいだけの話しだからだ。

 するとチロは、


「はいっ。よろこんで!」


 とブラックめいた返事を返した。

 チロが何か呪文を唱えたのを確認すると、


「おい。何か言ってみろ」


 そうすぐに要求する。


「はいっ、ごしゅじんさま。見捨てないでくださいねっ!」


 鬱陶しさ全開のセリフを聞いた後、俺はすぐに斉藤に向かって尋ねる。


「斉藤。今こいつが、なんて言ったかわかったか?」


 顔中にはてなマークをいっぱいに浮かべた斉藤が首を左右に振った。


「いんや。さっぱり……なんて言ったんだよ?」


 気になるのかそう聞き返してきた。


「そうか、ならいい。後はのことはまかせた。こいつらのことはたのむ」


 俺は、それだけを言い残すと保健室を出ることにする。じきに保健室当番の教師がやってくる頃だろう。

 美女三人に囲まれて、おまけにそのうち一人の裸体をしっかりと拝むことができたのだ。限界を超えてかんばってくれることだろう。


「おお、まかされた。おめぇはもう帰ってこなくてもいいからな!」


 案の定、斉藤は俺の期待通りの返答を聞かせてくれた。

 俺は保健室を後にして、昼の幸せを満喫するために、学食へと向かった。


<第02話 了>


次回は、ドラゴン戦になる予定です。

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