第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 58 - 決勝戦
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 58 - 決勝戦
「それで、はちみつパンプキωの方は問題なくスタンバイしたのか?」
俺の質問に、斉藤は親指を立てる。
「もちのろんよ。あいつら、気合はいってたぜ」
どっちがおっさんくさいんだよ、というようなセリフに俺はあえてツッコミを入れないでおく。
めんどくさいからだ。
「カージ、いけそうか?」
斉藤の向こう側に座っているカージに俺は話を振る。
「こればっかりは、終わってみないとなんとも言えんな。ただ一つだけ言えるのは、今から見せるのは間違いなく、はちみつパンプキωにとって最高のステージとなるってこったな」
相当おさえてはいるが、カージの声にも気合が感じられる。
実際、やれるだけのことはやったのだ、後は見守る他にない。
ただ、それでもワルキューレ☆ハートが如何に高い壁であるのかは承知している。
しかも、間違いなくワルキューレ☆ハートは最高のパフォーマンスを見せてくることを俺は知っている。
もちろん誰にも話したりするようなことはない。
それに、もうすぐ誰もが自分の目で見ることになるだろう。
そうなれば、俺の説明など邪魔なだけだ。
俺の目の前にコンソールが表示される。
いよいよ、はちみつパンプキωとワルキューレ☆ハートによる決勝戦開始まで秒読み段階に入ってきた。
コンソールを使えば色々と調べることが可能だが、今更調べるようなことは特にない。
それは、俺だけではなく他の観客たちも同じだろう。
ただ、これから始まろうとしているイベントに向けて、期待に胸を高鳴らせるだけだ。
突然ドーム内の全ての照明が消える。
辺りが漆黒の闇に包まれた中、音楽が聞こえてくる。
テンポの良い曲だ。
最初は小さく、それが少しづつ大きくなって、いきなり舞台中央にスポットライトが当たる。
そこに立っていたのは、今日の司会を務めてきた男である。
「会場にてお待ちの皆様。さらに、会場の外にお集まりの皆様。大変長らくお待たせいたしました、これより本大会最後の闘いとなる、ワルキューレ☆ハート対はちみつパンプキωの決勝戦を開始いたします」
司会による宣言と同時に会場が沸き立った。
この時ばかりはと声援の声が飛ぶ。
ワルキューレ☆ハートへの応援の声が多いのは間違いないが、はちみつパンプキωへの応援の声も確実に存在していた。
司会が右手を頭上高く右手を上げて騒ぎが収まるのを待つ。
静まった頃合いを見計らって、司会を再開する。