第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 50 - 二回戦からの経緯
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 50 - 二回戦からの経緯
俺は、もう一度頭を下げた後、斉藤に闘いの経緯の説明を頼もうとしたのだが。
「いや、それについては、オレの方から説明させてくれ」
カージが話に割り込むように言ってくる。
斉藤は何度か俺とカージの顔を交互に見た後、勝手にやってくれ的なジェスチャーをしてみせる。
カージは俺の方に歩いてくる途中、斉藤とすれ違いざま肩を二回叩いて「すまんな」と言葉をかけた。斉藤の方は肩をすくめただけだった。
斉藤と入れ替わるように俺の前に立ったカージは挨拶は抜きで、いきなり説明から入る。
「今回のマスター・オブ・クイーン・コンテストは、これまでの所ずっと波乱だらけだったよ。もちろん、その中心ははちみつパンプキωだったんだがな」
そう話し初めたカージの表情は、ひどく楽しそうだった。
続いてカージが話した内容とは、こういうことだ。
一回戦でクイーン候補の一角と見られていた虹色スーパームーンにはちみつパンプキωが勝利したことが、まず波乱の幕開けとなった。
続く二回戦でも波乱が起こる。
予選大会をトップの成績で通過した、まんまるメロンが二回戦でそれまでまったくノーマークだったアイドルユニット、ふわふわマジックに敗れた。
それまで予選大会と決勝トーナメント一回戦で闘ってきたのとは、まったく異なったスタイルのパフォーマンスを使ってきたのだ。
ずっと決勝トーナメントのために、本来の力を隠したまま闘ってきたのだとも言えるだろう。
それに対して、一回戦目ですでに隠し玉を使ってしまった、はちみつパンプキωは、二回戦目ですでにギリギリの闘いを強いられることになった。
パフォーマンスの完成度をより高めて、メンバーそれぞれの魅力を引き出しアピールするという、基本中の基本を突き詰めていく他手がなかったのである。
俺がカンム大統領に呼ばれる前に見た、あの必死さこそがそれであった。
なんとか二回戦を辛勝し三回戦へと進んだ、はちみつパンプキωだったが、そこでも当然の様にギリギリの闘いを強いられることになる。
一方本気を出してきた、ふわふわマジックは三回戦でも圧勝する。
四回戦目と五回戦目でも状況はまったく変わらなかった。
毎回全力を出し尽くして疲労しつくした、はちみつパンプキω。六回戦目、決勝トーナメントの最終戦において、ついにふわふわマジックと対決することになった。