第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 49 - 現在状況
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 49 - 現在状況
「いいでしょう。プロジェクトに必要となるエネルギー資源の確保は私の方でいたしましょう。もちろん、無償援助というわけにはいきませんが」
弱みに付け込むわけではないが、俺個人ではなくマドゥフの外交を代行するなら国益を考えて行動する必要があったからである。
「もちろんですとも。さすがにそこまで甘えたら、ルートワースのためにもなりませんよ」
珍しく苦笑を浮かべてカガトが答えた。
そして、話を続ける。
「それと、はちみつパンプキωは決勝戦まで勝ち残りましたよ。今全員中に揃っているから、褒めてあげてください。それでは、ルートワースを救っていただいたお礼は後ほど大統領直々に行うことになります。その時またお会いしましょう」
俺と握手を交わしたカガトは、嫌味なくらい爽やかな笑顔を残して去っていった。
正直、俺はこの男があまり好きにはなれなさそうだ。
だが今はそんなことより、最大の課題がある。
俺は自分の頬を両手で挟み付けるように叩いて気合を入れる。
その上で控室の扉を開くと、圧倒的な熱量のようなものが一気に押し寄せてきた。
中には、はちみつパンプキωのメンバー全員だけでなく、カージとリミィそれに斉藤までいた。
「おいおい、ようやくプロデューサー様の登場か。今まで何してたんだよ?」
さっそく俺に絡んできたのは斉藤だった。
「緊急に片付けなくてはならない用事ができたんでな、すまなかった」
俺は簡単な言い訳をした後、すぐに頭を下げる。
「なんだよ、緊急って? 今、はちみつパンプキωが闘っていることより緊急なことってなんなんだよ?」
もちろんその程度のことで斉藤が納得するわけもなく、さらに追求してくる。
だが、肝心のメンバーは特に関係なさそうだ。
体をタオルで拭ったり、じっと動かず精神を集中させたり、体をほぐしたり、それぞれが必死にこれからの闘いに備えようとしている。
ただ、俺が見るところ、全員の疲労は頂点に達しており、満身創痍といった感じであった。
リミィがマッサージを施してはいるが、おそらく気休め程度にしかなるまい。
斉藤はそんな彼女らの闘いを見てきたので、どうしても言わずにはいられなかったのだろう。
「何を聞かれても、すまなかったとしか言えない。できれば、二回戦から後の闘いがどうだったのか話してくれたらありがたい」