第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 48 - ルートワースへ
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 48 - ルートワースへ
だいぶ弱まったとは言っても、直撃すればルートワースに住む全ての生命は死滅することになるだろう。
後は、なんとかシールドで防いでくれることを祈るしかなかった。
俺はフェイズ6まで落とす。
フェイズ12のままルートワース星系内に入れば、俺自身が厄災となりかねない。
出来る限り急いで戻った俺は、ある程度惑星ルートワースに近づいたところでフェイズ2に落として、大気圏に突入する。
断熱圧縮における高温で輝いたが、地上から見たら隕石と見分けがつかないだろう。
地上に降りた時にはフェイズシフトもすべて解除して通常の状態に戻っていた。
巨大ドームの周囲には、大量の人が押しかけている。
中の様子を入りきれなかった人のために、運営側が特別に用意した魔法投射機が設置されていて、マスター・オブ・クイーン・コンテストを観戦するために沢山の者たちが集まってきているのだ。
どうやら俺が『ドラゴン』と闘っている間、ルートワース政府は俺との交渉を守り様子見をしてくれていたようである。
計画が実行に移されていたなら、とっくに観戦などしている状況ではなくなっていただろう。
俺は、関係者専用の出入り口へと向かい中に入る。
向かうのはもちろん、はちみつパンプキωの控室である。
だが、すんなりと中へは入れなかった。
当然と言えば当然だが、入り口の所でイケメンCEOが待っていたからだ。
「まったく、あなたは想像を絶する人だ。空前絶後とは、まさにこのことでしょう」
それがカガトの発した第一声であった。
「強ければ、誰でもできることです」
俺はまったく謙遜したつもりはなかったのだが。
「謙遜もそこまでくれば、嫌味にしか聞こえませんよ」
嫌になるくらいのイケメンにそんなことを言われる筋合いはないと思ったのだが、口には出さないでおく。
こう見えても、俺にもプライドというものがあるからだ。
「『ドラゴン』の消滅を確認されたのでしたら、大統領は俺が提案したプランを実行に移されるおつもりなのですね?」
俺は一応確認しておく。
今からほぼ一年後、確実に強烈なエネルギー波がルートワースを襲うことになる。
「ええ。我々の観測装置でも、エネルギー波の発生は感知しました。それに対応するためのプロジェクトチームはすでに立ち上がっています」
カガトはほぼ満額回答に近い答えをくれた。