第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 47 - 決着
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 47 - 決着
俺が掴んでいた胴体を、自分で食いちぎり脱出してしまった。
これで形成は一気に逆転する。
俺の腕の中に残った食いちぎられた胴体は暴れまわっているが、パワーの大部分は頭の方が持っていってしまっている。
しかも頭部は、全力で逃げ始めた。
俺が追いかけようとすると、残った尻尾が邪魔をする。
それを沈黙させるために一瞬のすきを作ってしまう。
生き延びた『ドラゴン』が姿を消すには十分な時間であった。
さすがにこれ以上ルートワースとの距離を縮められたら、斃した時の影響が大きくなりすぎる。
ここらが潮時だろう。
一気に決めてしまうことにする。
ためらうことなく、フェイズ11に移行する。
その時発生した時空震とエネルギー波が逃亡を開始した『ドラゴン』を捉える。
動きが瞬間的に止まった『ドラゴン』。
俺はその正面に回り込み、気砲を放つ。
さっきと同じように『ドラゴン』がライトニングボルトを放って応戦してくるが、結果はさっきとはまったく違うものであった。
フェイズ10の俺とフェイズ11の俺とでは、強さの桁が一つ違う。
闘うのがもっと後で、『ドラゴン』が成長していたなら話は別だろう。
だが、フェイズ10の俺とまったく互角の闘いをしていた『ドラゴン』の放つライトニングボルトではフェイズ11の気砲を抑えることは不可能だ。
強烈なライトニングボルトではあるが、あっさりと霧散させられてそのまま『ドラゴン』は気砲の直撃を受けてしまう。
こうなれば『ドラゴン』に助かる手段は存在しなかった。
気砲の中で消滅することになる。
だが、俺にとっての本番はここからだ。
それまでずっと体内に溜め込んできた力が、『ドラゴン』の死と同時に一気に開放されることになる。
事前の闘いでそれなりに消耗させたはずだが、それでも超新星なみのエネルギーが開放されるのだ。ここからわずか一光年先のルートワースが直撃を受けたら、さすがにシールド程度では防ぎようがない。
なので俺はドラゴンの肉体が消滅する前に突入して、開放されようとしているエネルギーを両腕の中に抱え込む。
そして、そのままフェイズ12へと移行した。
俺の腕の中で暴れまわっているエネルギーは、奔流となって逃げ出そうとするが、フェイズ12移行に伴う衝撃波と俺が気を高めて強引に押しつぶしたことで大部分は消滅させることができた。
だが、所詮は手のひらで水をすくうようなものだ。
漏れるエネルギーがあるのはどうにもできない。




