第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 45 - 『ドラゴン』戦
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 45 - 『ドラゴン』戦
『ドラゴン』からしてみれば、いきなり目の前に巨大な壁が出現したようなものだ。何が起こったのか分からなかったであろう。
停止した『ドラゴン』に向けて、俺はそのまま何度も拡散した気をぶつけていく。
ちょうど、丸太で相手をぶん殴るような感覚だ。
一撃必殺とは言わなくても、着実にダメージを与えていく。
二回目までは何が起こったのか分からないでいた『ドラゴン』だったが、さすがに三回目になると察したようで反撃にでてくる。
ライトニングボルトを狂ったように放つ。
だが、あまりにサイズが違いすぎてそんな攻撃当たるわけがない。
今のサイズの違いは人間に比較すると電子サイズのようなもので『ドラゴン』からは見ることも認識することも不可能だろう。
仮に当たったとしても、これほど拡散したぼやけたような攻撃でダメージを受けるほど、フェイズ10の俺は弱くない。
このままいけば、一方的に俺が勝つことになるのだが、さすがにそこまで『ドラゴン』は甘くない。
四度目の拡散した気砲を叩きつけたところで、ついに『ドラゴン』は何が起きているのかを察したようだ。
意味のない攻撃をやめて、自分自身のサイズを変化させ始める。
俺と同サイズにまで自分の肉体を縮めるつもりなのだ。
これは、俺が以前銀河クラスの『ドラゴン』と闘った時にも起きたことである。
ここからが、闘いは本番になる。
俺はフェイズ10のまま構えを取る。
小さくなっても持っている力の総量は変わらないので、当然ながら力はとてつもなく集約されることになるわけだ、さっきまでとは別次元の闘いが始まることになる。
最初の一撃は『ドラゴン』から来た。
ライトニングボルトである。
空間そのものを切り裂きそうな攻撃だった。
それをギリギリで避ける。
見切りはしているが、余裕はない。
俺は見切りながら、懐へと飛び込むと強烈な打撃を加える。
要するに蹴ったのだ。
長く伸びた体全体を発光させて『ドラゴン』が悲鳴を上げる。
声は聞こえないが、強烈なサイコウェイブが周囲の空間を歪ませた。
俺はすぐに離れる。
俺が立っていた空間に、突然ブラックホールが無数に発生する。
ホーキング放射によって、瞬間的に消滅するがそのまま立っていたら、ダメージは避けられなかっただろう。
だが、それはしょせんフェイントでしかない。
避けた直後に、強烈なライトニングボルトが来る。
流石にこれは避けられなかった。




