第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 41 - 解決手段
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 41 - 解決手段
この頃の俺は今よりも遥かに弱く、フェイズ49までしか届いていなかった。どんなに修行をしてもフェイズ50の壁を破れないでいたのだ。
正直銀河規模にまでパワーアップしていた『ドラゴン』を相手にして、勝てる見込みはほとんどなかった。それに関しては俺が接触したアーリアス文明も同じであった。
惑星規模の攻撃要塞を一万数千揃えて、迎え撃つ作戦を立てていた。だが、あまりに力の差が有りすぎる。これでは、まるで歯が立たないことなど簡単に予想できた。
唯一可能性があるのは、俺が壁を破ることだった。
むちゃな修行をして、ずっと破れないでいるフェーズ50の壁をぶちやぶるしかない。
結局俺はアーリアス文明の持っている全艦隊と全ての惑星要塞を同時に相手にすることで、フェイズ50の壁を破ることに成功し、ギリギリの所で銀河クラスの『ドラゴン』と対等に戦えるレベルに到達した。
結局『ドラゴン』との闘いの中で、俺はさらにフェイズ51の壁をぶちやぶり、『ドラゴン』を消滅することに成功する。
この勝利がさらに強い敵を招くことになったのだが、それはまた別の話である。
それほど複雑な話ではなく、むしろ単純な話であった。ただ、あまりに突拍子もなさすぎる話に聞こえるはずだ。
それを承知で、出来る限り控え目に話したつもりだが、やはりあまりにスケールがでかすぎて現実味がない。
俺だとて、この状況でなければわざわざ他人に話すことはなかったであろう。
「この話を大統領閣下がどの様に受け止めるのかは自由ですが、大切なのは私がこの第三の道を提示できるということです」
俺は、カンム大統領に対して、そう話を締めくくった。
カンム大統領はなんとも言えない表情を俺に向けてきている。
おそらく、これが通常時であれば、俺のことを狂人だと断じればすむ話である。
実際、俺の見る限りそうしたい気持ちを押さえているように見える。
だが、カンム大統領は政治家である。
本音を巧みに隠すことくらいは息をするようにやってのけることができる。
「君の話したことを理解したとは言わないが、一応受け入れよう。だが、どうしようというのかね? 具体的に、私……いや、ルートワースに何を求めているのかね?」
俺の話がデマであった可能性を一応排除しての話だった。
もちろん全面的に信じているわけでないことは承知している。
だが、それでよかった。
提案をするための土壌は整ったのだから。




