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第02話 VSヴァンパイア!-20 - 後始末2

「これはいけない。先生! 彼女たちを今すぐ保健室に運びます!」


 俺は一方的に宣言すると、シリンを抱き上げる。ついでに、自分の鞄も拾い上げておいた。


「お、おい……」


 突然の出来事に、状況がまったく把握できていない遠藤先生が声をかけようとするが、ちょうどその時授業終了のチャイムが鳴り出しその声を遮った。

 俺は、かろうじてルーファを抱えることのできた斉藤についてこいと目で合図を送ると、教室を抜けだした。

 フラフラとついてくる斉藤のことはほっておいて、保健室へと向かう。

 何故か嬉しそうにほとんどペット化したヴァンパイアもついてくる。その後ろには、興味本位で見守っているクラスメートたちが後に続いている。

 彼らに関しては、すべて斉藤が対応してくれるはずだ。

 起こったことを洗いざらい話すであろうが、その内容に関して俺は関知するつもりはない。

 俺への質問があれば、記憶に無いから斉藤に聞いてくれですませるつもりだった。

 ほとんどスピーカー的な性格をしている斉藤は気にもとめないだろう。

 ルーファを抱えてフラフラと歩きながら、嬉しそうにあることないこと話している。

 どうせ正直に話したところで、信じてもらえることはないのだから、どんなに話しを盛った所で大差ないだろう。

 ただし、エルフ娘二人とヴァンパイアに関しては確かな物証となってしまうので、的確な対応が必要となる。

 保健室に入ると誰もいなかった。

 受け持ちの教師は当番制なのだが、常駐することはない。

 必要な時に職員室に行けば、担当の先生がやってくる。そういう仕組だ。

 そして今は、当然のように担当の先生は必要なかった。


「おい……」


 俺は、ヴァンパイアに呼びかけようとして、名前を聞いていなかったことに今更気づいた。想定ではその必要がなかったのだから当然ではあるが、いざ呼びかける必要がでてきたら、不便なことに気づいた。

 ともあれ、実際のところどうでもいいことには代わりがないので、適当に呼びかけることにする。


「……チロ。今すぐ、元いた場所に帰れ」


 適当な名前を付けて俺が命令すると、


「ご、こめんなさいぃぃ。そ、それだけは、それだけは勘弁して下さいぃぃ。み、見捨てないでください、ごしゅじんさまぁ!」


 アニメばりにぶわっと涙を流しながら、おまけに鼻水まで流しながら、俺の足に縋り付いてきた。

 なんて、鬱陶しいヤツと思いながらも、このままだと俺のズボンはこいつの体液まみれになってしまうことは確実なので、早急に対処することにする。


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