第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 33 - カガト登場
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 33 - カガト登場
いやになるくらい爽やかな笑顔で、カガトが俺の右手を握り返しながらそんなことを言ってくる。
どこまで本気なのか、相変わらずわかりづらいやつだ。
前回はまったくこの男に関する知識はなかったが、今回は結構ディープなところまで調べてある。
もちろん、核心的な部分にまでは到底及んでいるとは言えないが。
「それで、どのようなご用件ですか?」
俺はカガトの社交辞令を無視して話を進める。
わざわざ相手のペースに合わせる必要はない。
それが、信用できない相手であるならなおさらだ。
「いや、話が早くて助かります。ですが、ここでは少々話しづらい内容なので、おつきあいいただけますか?」
態度は非常に丁寧に接しているが、無言の圧力をかけてくる辺り、この男の素性が知れようというものだ。
「わかりました。この状況なので長くは付き合えませんが、それでよろしければ」
俺はすっとぼけた感じでカガトの誘いを受ける。
はちみつパンプキωのことで借りがある、というよりはなんでこの状況下で接触してきたのか、ということに興味があったからだ。
「もちろんですとも。お手間はとらせませんよ」
あいかわらず爽やかな笑顔を閃かせて、カガトは気さくにいってきた。
ほぼそれとタイミングをあわせるように、目の前に構内移動用の乗り物が来て止まる。
手回しが良いのは、俺が断るはずかないと確信していたからなのだろう。
まぁ実際その通りなのでなんとも言えないが。
俺がカガトに連れて行かれたのは、ドームの地下であった。
それも地下一階とか二階とかいうレベルではなく、キロメートル単位の深さにある地下施設である。
地下施設自体がとても巨大なドーム状になっており、見た感じ地上部分のドームよりもずっと広かった。
乗り物はドームの中を高速で移動して、ドームの端にあるビルの前で止まる。
乗り物を降りると、ビルの玄関口に当たる場所に女性二人が立っていた。どちらも美形で、嫌になるくらいイケメンCEOにお似合いだった。
内心くそくらえと思いながらも、女性二人に先導されて建物内に入る。
ロビーは広かったが、ほとんど人がいない。
施設は稼働しているようだが、ずいぶんと無人化がすすんでいるらしく人影は俺たち以外にはみかけない。
エレベーターに乗り込むと、すぐに上昇を始める。
まったく加速による荷重の変化を感じられないのは、魔法技術で動いているエレベーターの特徴である。




