第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 28 - はちみつパンプキω
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 28 - はちみつパンプキω
とりあえず今から何が始まるのか見守るだけだ。
舞台は暗転している。
真っ暗な状態で、誰がいるのかまったく分からない。何が起きているのかも見えない。
当然、魔法投射機も作動していない。
そんな中で、ポップなミュージックが流れ始める。
その時点ではまだ、暗転は続いている。
突然、ドームの天井からスポットライトが舞台を照らす。
光は一筋のレーザービームのように、まっすぐ射して一人のアイドルを捉えた。
それは、空中にいるアイカであった。
飛空していたわけではない。ジャンプして空中にいる瞬間をスポットライトが捉えたのだ。
スポットライトは地面に着地した後もアイカを負う。
次は二つの光が同時に追加される。
光の中にはサリィとイチリアがいて、高速でターンをしている瞬間を捉えていた。
次はどうなるのだろう、と考えたタイミングで、舞台全体に照明が当たる。
その瞬間、歌声が聞こえ始める。
歌っているのは三人、小島をセンターにして両脇にいるシリンとレヴン。なぜこの三人かというと、歌の言語が日本語であるためだ。
コンソールの翻訳機構は意図的に停止してあるため、会場の客に歌詞の意味は分からないだろう。
もちろん、自前で翻訳スペルを使えるやつは別だが、意図的に停止してあることが分っていてそんなものを使うやつはまずいない。
三人の歌声がハーモニーを奏でると、俺が想像していたより遥かに美しかった。
三人の周りで踊っていたアイカ、イチリア、サリィの三人は歌が始まると、歌い手三人のいる中央に踊りながらよってくる。
まったく未知の言語の持つ響きに観客は、かなり興味を惹かれた様子で聞き入っている。
曲の半分が終わった辺りの反応は悪くない。
だが、問題はここからだ。
十分頑張りはしたが、まだ虹色スーパームーンのパフォーマンスを超えるものではない。
俺の感触では、このままだと勝てないだろうと判断せざるをえない。
さて、どうするつもりなのだろうと思いながらみていると。
後半パートに入った瞬間、ボーカルが一人になった。
小島だけである。
だがそれだけではなく、今までダンスをしていた三人もいきなりとまる。
その時、はちみつパンプキωのメンバーは円を描くようにな隊形になっていた。
だが、ただ円形になっているのとは違う。
小島一人と、その他すべてのメンバー全員が背中を向かい合わせるように反対側を向いていた。
いつしか、BGMが消えている。




