第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 25 - 抽選
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 25 - 抽選
それはワルキューレ☆ハートを優遇してるわけではないということを、今の短時間のパフォーマンスによって誰もが理解したからだ。
もしもトーナメントの最初からワルキューレ☆ハートの対戦相手になったユニットがいたとしたなら、そのユニットは他のにユニットに比べてあまりに不公平というものだろう。
そういった不公平感をなくすために運営側が考えた配慮であった。
簡単な説明が終わり、舞台上に残ったユニットのセンターが、順番にボールを掴む。
ちなみに、この時点でボールに書かれている文字は見えないように魔法技術を使い細工されている。
二人を除いて全員がボールを取り終わると、全員が背中を向ける格好で円になって等間隔に並ぶ。
「それでは皆さん、頭上にお取りになられた玉を上げてください」
司会者が言うと、全員がボールを頭上に掲げた。
この段階ではまだボールに何が書かれているのかわからない。
「それでは会場の皆様方、大変長らくお待たせいたしました。決勝トーナメント組み合わせの発表です」
司会の男が宣言すると、ドームの天井から光の輪が降りてきて、頭上に掲げたボールに触れる。その瞬間弾けたように光の輪が消える。
ユニットを代表して残ったアイドルが手に持ったボール全てに、文字が浮かび上がった。
それは、ルートワース文字で数字を表すものである。
さすがにそのくらいは、俺にも読める。
「この瞬間を持ちまして、対戦が決まりました。詳細は各自の席に備え付けてあるコンソールで確認できます。これをもちまして、開会式は終了いたしますが、このまますぐに第一回戦を開始いたしますので、どうかそのままでお待ち下さい。それではご清聴ありがとうございました」
司会者とアイドル達が次々と舞台を降りて、一人だけが舞台上に残っている。
見覚えがある顔であった。
さっき、俺に話しかけてきたアイドル。確か、虹色スーパームーンのセンターカナエだったはずだ。
コンソールを確認すると、俺の記憶が正しいことを証明してくれた。
降りていったアイドル達と入れ替わるように、四人のアイドルが舞台へと駆け上がりカナエの元に集合する。
抽選の結果、虹色スーパームーンが一発目となったのだ。
突発的でいきなりの登板でありながらも、虹色スーパームーンのメンバーは誰一人として慌てている様子は見られなかった。
俺は端末操作して、虹色スーパームーンの対戦相手を調べてみる。




