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第02話 VSヴァンパイア!-18 - 帰還

 どうやら、あやまっていたようである。

 ここまでくると、さすがの俺でもナルシス呼ばわりするのは少々気が引けてきた。ナルシス・ヴァンパイアから惨めなヴァンパイアへとランクアップしてあげてもいいかも知れない。

 ともあれ俺としては、こいつのおかげてさんざん苦労させられたわけだが、こんな所に長居する必要性など微塵も感じないので、端的に用件だけを告げる。


「そこに転がっているエルフ娘の身体から、召喚陣を消去しろ」


 俺が言うと、惨めなヴァンパイアは床の上に正座をして額を床に擦り付ける。


「はいっ。わかりました!」


 無駄に大きな声で返答を返した後、今度は急に小さな声で呪文を唱える。無論、俺には分からないし分かる必要もない。結果が示されればそれでいいのだ。


「お、終わりました!」


 また無駄に大きな声で、惨めなヴァンパイアが報告をしてくる。

 俺は無言で床の上に転がったままのルーファに近づくと、上半身を抱え起こして胸元を見て召喚陣が消えていることを確認する。

 どうやら、これで目的は達成できたようである。ただ、抱き起こして分かったが、ルーファはかなり弱っていた。致命傷となるような怪我はないようだが、自分の持てる限りの力を出し尽くして気を失ってしまったようだ。

 ということは、ルーファに帰還呪文を期待するというのは無理ということになる。

 シリンも似たような状態だが、魔力体力共に残っていたにしても、彼女では帰還呪文を扱えない。斉藤は体力全開で死んだふりをしているが、こちらは論外であろう。

 もちろん、俺はルーファの体力が回復するまで待つつもりはない。こんな僻地にこれ以上いたくないからだ。

 となれば、俺の望みを叶えることが可能なのはこの中で一人しかいないことになる。


「これで最後だ、俺達を元の世界の帰して、二度と係るな」


 俺は最後の要求を突きつける。


「は、はい。わかりました!」


 少し前までのナルシスっぷりがまるで幻であったかのように、惨めなヴァンパイアは即答し、俺の立っている場所は変化する。


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