第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 17 - 気合
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 17 - 気合
それ以外に勝つ方法は存在していないし、負けた時の言い訳など出来ない。
負ける時は、純粋に実力で負けるのだ。
それが、これから始まろうとしている闘いであった。
俺と斉藤がはちみつパンプキωの控室に戻ると、メンバー全員が完璧に準備を整えて終えて緊張した表情になっていた。
彼女らの正面にリミィが立ち、これから気合をいれようとしているところであった。
「よくここまでついてきたな、ひよっこ共! 少しはマシな顔になってきたじゃないか。あたしから見たら、あんたらのやってることはまだまだなんとか客に見せられるようになった程度だ。けどな、他の連中に比べて勝っているものが確実に一つある。それが何か分かるか?」
一列に並んだはちみつパンプキωの前を行ったり来たりしながら話すリミィの姿は、相変わらず鬼軍曹である。
「どうだ? 答えてみろ、アイカ!」
リミィが真っ先に聞いたのはアイカであった。
そりゃムリだろ、と俺が思って見ていると。
「わ、わかりません!」
不動の姿勢を取って、アイカが答える。
想定通りの返答であった。
「シリンはどうだ? 答えてみろ!」
次に指名したのは、アイカと五十歩百歩のシリンであった。
シリンはアイカと違って一切迷いなく答える。
「わかりません!」
考える素振りすらみせないのは、いっそ清々しい。
「どうだ、他に分かるものはいるか?」
今度は全員に振る。
だが、全員不動の姿勢を保ったまま沈黙を守る。
「わからないか。なら、教えてやろう。あんたらが唯一勝っているもの、それは伸びしろだ。おまえらは、まだまだ伸びる。おまえらは、もっともっと成長する。それを、舞台の上でやってみせろ。このドームを埋め尽くす観客全員にみせつけてやれ。はちみつパンプキωの凄さを証明するんだ! いいか、全員に聞くぞ。はちみつパンプキωが望むものはなんだ!」
リミィは整列したメンバーの中央で立ち止まり、相対した位置で全員に尋ねる。
すると、全員が声を揃えて返答する。
「マスター・オブ・クイーン・コンテスト優勝です!」
乱れのない返答であった。
普段から鍛えられてるからこそ、これほど見事に揃うのだ。
「では、クイーンの座は誰のものだ!?」
重ねてリミィが全員に問いかける。
「はちみつパンプキωのものです!」
さっきと同様に、全員が即答した。




