第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 11 - 舞台
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 11 - 舞台
「その甲乙つけたがいユニットの中でもあえて上げるとしたら、さくらんぼチェリーパイと、虹色スーパームーンの二つだな。さくらんぼチェリーパイのセンターリィフィティと、虹色スーパームーンのセンターカナエは自他共認めるライバルで、ワルキューレ☆ハートのメンバーと比べても遜色ないくらいの実力と人気を兼ね備えている。ただ、どちらも一枚看板なので、ユニットとして見たときにはどうしても、ワルキューレ☆ハートは言うに及ばず、まんまるメロンと比較しても一歩及ばないっていっていう前評判だ」
斉藤の解説を聞きながら、俺と斉藤と一緒に舞台の方へ向かって歩いていく。
まだ客の入場は始まっておらず、静まり返った会場に、完成した舞台が設置されたこの光景は、今だけしか見ることはできない。
なにせ会場が巨大なために、異様に小さく見えていた舞台だが、近づいてみるとかなり広い。
これなら、大抵の演出は十分許容可能だろう。
アイドルはバンドではないので、基本的に楽器は必要ないはずなのだが、舞台袖には色んな種類の楽器が用意されていた。
「なんで楽器があるんだ?」
俺が斉藤に聞いてみると。
「確か、出場者の中で二組のアイドルユニットが楽器を使ってたはずだけど……少し待ってくれ」
さすがに斉藤と言っても、全ユニットのパフォーマンスの内容までは網羅していないらしく、端末を調べ始めた。
俺は、その間に舞台ではなく、観客席のほうへと目を向ける。
完全閉鎖型のドーム内はまだ観客を受け入れ前ということもあり、すべての照明は点けておらず、夕闇のような薄暗さの中に沈んでいた。
舞台から見ることのできる観客席はとても遠く、どこか孤島のような雰囲気がある。
「ああ、あったあった。やっぱり、ぴーちハイムとシュガーハニーだ。ピーチハイムはメンバー全員によるリュート演奏が特徴で、シュガーハニーはメンバーによる本格的なバンド演奏が出来るらしい。特にシュガーハニーのボーカル、レッコはソロでコンサート活動もやってるらしいぞ」
アイドルと一括りにしても、やはりマスター・オブ・クイーン・コンテストに出場するようなユニットともなると、それぞれに売りとなるような特徴をもっているということなのだろう。
「まぁ、それだけじゃない可能性もあるしな。なにせ決勝トーナメントだ、どのユニットも何かしら隠し玉を用意してくるだろう。予選以上の白熱した闘いが見れるんじゃないかな」




