第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 09 - 控室で
第07話 異世界アイドル選手権 後編 - 09 - 控室で
ふてくされたように言ったのは、その後から入ってきたシリンだった。
「今はそんなの関係ない。力を尽くして、頑張るしかないわ」
これが最後のメンバーとなるイチリアが言った。
「さて、全員揃ったな。準備をするぞ」
締めるように言ったのはカージであった。
部屋に入ってきたのは最後だが、ドアの脇に立っていて、メンバー全員の話しを聞いていたことを知っている。
俺はこのタイミングで控室を退出する。
居ても問題ないのだろうが、ここから先やることがない。
それよりも、他のアイドルを見たり、実際に舞台を見ておきたかった。
とは言え、控室の中に入るわけにはいかないので、アイドル達の方は廊下で見るくらいのものだが。
スタッフやタレットが余裕で行き交うことができるように、通路は広くとってあり、当然それだけ人が多い。
その中にアイドルの姿を見ることはできたが、すぐに控室に入ってしまった。
さすがにこの時間では、それぞれ準備にはいっているということなのだろう。
どこのユニットも自信に満ちた感じがはっきりと見て取ることができる。
当然のことだが、自分たちがクイーンになる。そういう決意を等しく持っている。
俺がそのまま観客席の方に歩いていくと、後ろから追いかけてきているのを感じた。
「どうした?」
俺は振り返らず質問すると。
「相変わらずつめてぇな、成瀬」
横に並びながら答えたのは斉藤であった。
「いいのか? はちみつパンプキωを見に来たんだろ?」
俺は足を止めずに尋ねる。
「俺が居ていい空気じゃないからなぁ。部外者だし。それに、俺は観客席から応援するわけだしな」
めずらしく斉藤が正論を言ってきた。
「ほう? まともな話しもできるんだな?」
俺が素直な感想を言うと。
「おいおい、俺は今までまともな話ししかしたことねぇだろ。それよりお前さ、他のアイドルのことは少しは知ってんのかよ?」
ほんとは最初から分かっていたことだが、斉藤の頭のなかで自分は真面目キャラとして認識しているらしい。
そのことに関しては、何を言ったところでただ疲れるだけなのでスルーする。
だが、他のアイドルのことは別だ。
「いや、まったく知らん」
俺は正直に言っておく。もっとも、隠したところでまったく意味がないわけなのだが。
「全部で34組のユニットが出場するのは知ってるよな?」
斉藤は一番初歩的な所から入ってきた。
「ああ」




