第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 19 - リミィの過去
第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 19 - リミィの過去
本当は来れば会えるだろうという確信が半分くらいはあったのだが、そのことに関しては伏せておく。
言う必要がないことだからだ。
ちなみに斉藤を連れてきた理由は、偶然であるという印象操作をするためという側面がある。
「ああ、そういうことね。でも、ごめんね。此処に来たかったのは、とても個人的な理由からなのよ。それに、ここに来るための手段を見つけたは、本当に偶然だったわけだし」
俺の話を聞いて納得したのか、リミィは少し緊張を解いてそんなふうに答えた。
「よかったら、此処が貴方にとってどんな場所なのか話してもらえませんか? もちろん、話せないようならムリにお聞きしませんが」
俺は少しだけ踏み込んでみる。
幼女の姿をしたリミィ。俺は彼女に深く関わるつもりはないが、だからと言って放置するつもりもない。
どこまで踏み込むかは、あくまで相手の出方を見ながらということである。
俺の質問に、リミィは少し考えていた。
「あのー。おいら、席外したほうがいいですかい?」
妙に下から目線で恐る恐る発言したのは斉藤だった。
「いや、その必要はないよ。いずれナルセに話さなきゃなんないって思ってたし。それが、たまたま今だって話しだわね」
自分の気持ちに踏ん切りをつけたのか、リミィはさっぱりとした顔になって答えていた。
これが斉藤を連れてきたもう一つの理由だ。
俺と違って、するりと相手の懐に潜り込んで緊張を解いてしまうような所がある。
「では、お願いできますか?」
俺は改めてリミィに向かって話しをふった。
すると、リミィは小さな体いっぱいに息を吸い込んでから話し始める。
「この星はね、昔は命で溢れていたのよ……」
リミィの話しは唐突だった。
俺は黙ってリミィが続きを話すのを待つ。
幸いなことに、斉藤も空気を読んで黙っている。




