第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 07 - イチリア
第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 07 - イチリア
「それでは説明になっていないと思うぞ? お願いだから、もう少しわかりやすく説明してくれないか?」
怯えているというよりは、投げやりになっているイチリアに強圧的な態度ででても事態を悪化させる結果になりかねない。
回りくどいようだが、俺は下手に出た言い方をする。
ちなみにこの時、俺に気づいて武器を向けて来た男二人に気弾を当てて眠らせておいた。
派手に後ろへと飛んだので、骨折くらいはしているかも知れないが、俺は痛くないので問題はない。
「あたしがちゃんとしないと、おかぁさんが食べられちゃうんです」
さて、そう来たか。ここまでずっとベタな展開が続いていて油断していたが、さすがにそれで最後まで行かせてはくれないようだ。
「一応確認させてくれ。今、おかぁさんが食べられると言ったのかな?」
聞き間違いはしていないことは確信している。
だが、言い間違った可能性は無きにしもあらずだ。
「そう、食べられちゃうの」
真剣な眼差しで俺のことを見つめながらイチリアが話す。
どうやら、言い間違いでもなく嘘や冗談とかでもないらしい。
俺は、一旦ちゃんとした話しを聞いた方がいいと判断する。
大量の荷物に囲まれた倉庫の中というのは、あまり真剣な話しをするのには向いていない環境と言える。
それに、俺に気づいたヤクザもどきの連中を相手しながらだと、話に集中できない。
ちなみに、今の会話の間に三人の男を、追加で眠らせた。
「場所を変えて話そう、ここは落ち着かん」
俺の提案に、イチリアは黙って頷いた。
歩き始めると、イチリアはさっと腕を絡めてくる。
さすがにこの状況で振りほどくわけにもいかず、俺は黙って受け入れておく。
イチリアを連れて出口に向かって歩いていくと、他の男達も一斉に気づいた。
それぞれ武器を手にした中から、飛び道具を持ったやつだけに気弾を当てる。
男たちは次々と派手に吹っ飛び意識を失う。
おそらく俺が何をやったのか分かるやつはいないだろうが、それでも逃げ出そうとするやつはいなかった。
まぁ、俺の目的にとってはどうでもいいことなのだが。
「てめぇ、何しにきやがった?」
明らかに他のモブとは違う貫禄を持つ男がでてきた。
「こいつの保護者だ。やるべきことをやっている」
俺は圧倒的に正当な主張をする。
「はぁ? 彼女と年変わんねぇだろ。なんなら年下じゃねぇか。何寝ぼけたこと言ってやがる」
向こうは向こうで当然のことを言ってきた。




