第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 05 - 特定
第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 05 - 特定
「パ●ンコとかいうギャンブルのことは知ってるか? どうも、イチリアの母親がそいつにハマって多額の借金をこさえたらしい。父親の方はとっくに逃げてしまっている。それで、イチリアに借金の肩代わりをしろと言ってきた。母親を見捨てることのできないイチリアは、それを承諾して借金の肩代わりをしようとしている。それで、アイドルになることは諦めて、女が手っ取り早く金を稼ぐことのできる商売に就こうとした。まぁ、大体はこんな流れだ」
カージは簡単に事情を説明する。
厄介には違いなかったが、想像していたより何倍もベタな厄介さであった。
「わかった。イチリアの身柄を拘束している連中の方は俺が対応するから、あんたはリベン法律事務所のモリタという弁護士を訪ねてくれ。俺の名を出せばすぐに対応してくれるはずだ。場所は端末に送る」
俺は通信を切ると、すぐにリベン弁護士事務所の住所を入力してカージの端末へと送った。
折り返すように、カージから借金取りとイチリアの住所が送られて来た。
俺は一緒に来ていたレヴンに向かって話す。
「聞いていたとは思うが、イチリアの居場所が分かった。どうやらトラブルに巻き込まれているらしい。俺は対応するためにすぐに出るから、他のメンバーに連絡をとっておいてくれ」
レヴンはうなずきながら答える。
「はい、分かりました。他の娘達はまだ探してると思うので、急ぎ連絡を取って伝えておきます」
いい返事だった。
性格はアレのままだが、最近はどうにか使えるようになってきている。
「それでは後は任せた」
俺はレヴンに告げるとすぐに事務所を出る。
すでに目的地の住所は分かっていて端末に入っているので、このままピッカーを呼ぶ。
すると小島が斎藤を連れて事務所ビルに入っていく所が視界に入った。
あぶなかった。想像以上にスムースに会話が成立したのだろう。あやうく、余計な足止めをくらいかねない所だった。
俺は見なかったことにしてピッカーに乗り込む。
目的地に着くまでの時間を利用して、俺はまたモリタに連絡をとる。
「おや、これはこれは懐かしい声ですね。連絡もなくて寂しかったですよ」
まずは社交辞令的な挨拶をしてきた。
時間がないので俺は社交辞令を一切省略して、要件だけを伝える。
「今からそこに、カージという男がいく。できる限り力になってやってくれ」




