第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 04 - 捜索
第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 04 - 捜索
「それで、手がかりはあったのか?」
正直な話し、俺に比べたら同じメンバーであるレヴンの方が、よっぽど繋がりが深い。だから聞いたのだが。
「さっぱり」
肩をすくめ、お手上げのポーズを取りながらレヴンが答える。
それはそうだろうなと俺も思う。手がかりがあるようなら、こんな所に来るより先に連れ戻しに行っていることだろう。
レヴンはそういうことで躊躇するような女ではない。
「わかった、急いで事務所に行こう。闇雲に動いたところで時間を浪費するだけだ。そしてはちみつパンプキωにとって時間はなにより重要だ」
ただでさえポンコツアイドルなのである。貴重な練習時間を取られることは、即致命傷に繋がりかねなかった。
レヴンと二人で俺は事務所に向かった。
事務所にはカージが自分のつてを使って集めた社員が働いていたが、肝心のカージの姿はなかった。
事務所の人間に、カージの帰社予定を尋ねると、誰一人として答えられない。スケジュールを管理する人間がいないとは言っても、行き先くらいは把握していて欲しかった。
通話端末を持っているはずなので、すぐに連絡を入れてもらう。
「どうぞ」
事務の女の子から渡された端末を受け取ると、すぐにカージの声が聞こえてくる。
ちなみに電話と違って、端末に触れていれば会話できる仕組みになっている。このあたりは科学技術と魔法技術の違いであった。
「ナルセ、すまん。俺がいながら厄介なことになった」
まずカージは謝ってくる。
「そんなことより見つかったのか?」
俺はすぐに尋ねる。
おそらくカージのことだ、居場所自体は特定できているのだろう。という想定の下で話している。
「ああ、居場所自体は見つかった。ただ、ちょっと不味いことになってる」
どうやら一筋縄ではいかないような雰囲気であった。
あんまり聞きたくはなかったが、放置する選択肢は存在しないので聞くしかない。
「詳しく話してくれ」
俺の言葉が終わるか終わらないかのうちに、カージはすぐ話し始めた。
もちろん最初から話すつもりだったからだ。




