第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 01 - 呼び出し
第07話 異世界アイドル選手権 中編 - 01 - 呼び出し
俺が放置してから一週間が過ぎていた。
カージとリミィの二人に任せていたこともあり、俺は自分のやるべきことに集中していた。
なにしろキワモノ揃いのあのメンバーだ、順調に行ってるなどとは思っていなかったが、それでも決勝までの間はすったもんだの末に、なんとか形になるまでにはこぎつけるだろうと願望混じりに予想していた。
ポンコツアイドルユニットである、はちみつパンプキωを、短期間で決勝戦レベルにまで引き上げる必要がある。
余計な回り道をしている余裕なんてない。普通に考えたら、誰もが理解できるようなことだった。
ところが、この間際の状況でも問題が勃発するのが、はちみつパンプキωのはちみつパンプキωたる所以であろう。
報告してきたのは、いつの間にか正式にリーダーになっていた小島であった。
俺を校舎裏に呼び出して告白する。もちろん、恋の告白なんかじゃないことは分かっていたから、嫌な予感しかしない状況だった。
「あのね、あのね、成瀬くん。いいから、落ち着いて聞いてね」
まったく落ち着きのない様子で、小島が俺に言ってくる。
「俺は落ち着いてる。なんだ?」
俺がこう話した時には、すでにルートワース行きを覚悟していた。
「あのね、あのね、成瀬くん。落ち着かなきゃダメだよ?」
いきなり小島の話しがループした。
ぶっ飛ぶことはよくあるが、ループパターンは初めてのような気がする。
「小島、一回深呼吸したほうが良くないか?」
俺は控え目に忠告してみる。
忠告した結果が良い方に転ぶとは限らないのが小島である。
だから、控え目にしておいたのだが。
「そだね、そだね。おちつこ、おちつこ……すーはー、すーはー、すーはー」
小島は深呼吸を繰り返し初めた。
やはり忠告は裏目にでたようだ。
だが大丈夫、これは想定内である。
ちゃんと小島対策用に手は打っておいた。
「よう、成瀬。どうした?」
なにやら大物ぶって、ゆっくりと歩いて近づいて来ているのは斎藤である。
ただ、話しかけてきた位置が遠すぎて、聞き取るのに苦労する。
俺としては大声など出したくないのでしばらく放置する。
小島はすーはーしながら体がふらついてきた。
過呼吸になっているのだ、そろそろ限界だろう。
「小島もいんのか? さっきぶりだな。ふらついてるけど大丈夫か?」
ようやく普通に話ができる距離までやってきた斎藤が小島に声をかける。




