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第02話 VSヴァンパイア!-14 - ヴァンパイア戦1

 ルーファとシリンの近くにナルシス・ヴァンパイアがいたがこっちはこっちでボロボロになっている。

 どうやらルーファとシリンは想像以上に善戦したらしい。

 などと俺が状況分析をしていると、ナルシス・ヴァンパイアも俺が戻ってきたことに気付いたらしくこっちを向いた。

 その表情には明らかに驚愕した様子が見受けられるが、俺にとってはどうでもいいことの一つであった。

 現在俺はフェイズ2に移行している。すべての行動に対して細心の注意を払わないと、俺を中心として数十キロにわたり壊滅的な打撃を与えかねない。

 そうなればナルシス・ヴァンパイアだけでなく、俺のツレも消滅することになる。

 実際には、俺もそれほど余裕を持っているわけではないのだ。

 だが、俺は平然とナルシス・ヴァンパイアに言葉をぶつける。もしここで、後先考えずに逃げ出すという行動にでられたら、けっこう厄介なことになるからだ。


「弱い連中をいじめて楽しむしかないってのは惨めだな。もっともこんな僻地で、『ぼくちゃんが一番つよいんだよ~』とか言って一人で満足しているようなヤツにはふさわしい娯楽なのかも知れんがな」


 意図的に挑発するような言い方はしたが、これは紛れも無い俺自身の本心の一部であった。

 これでも逃げ出そうとするようなら、俺の言語中枢を刺激してやまない挑発するための言語ストックはまだまだたくさんある。

 しかし、幸か不幸かナルシス・ヴァンパイアにはそれだけでお腹がいっぱいになったようで、


「き、貴様ぁ! ゆ、ゆるさんぞ!」


 いい感じにキレてくれた。次はゆるさんぞを実行に移してくれたら、俺の思い通りに事が運ぶことになるのだが……。

 などと俺が内心都合のいい展開を妄想していると、ナルシス・ヴァンパイアはいきなり向かって来てくれた。

 しかも全力で、だ。

 俺としみれば、理想的な展開であった。

 もっとも、こんな所に来なきゃならなかったことを考慮するならば、トータルではがっつりマイナスなわけだが。

 とりあえず、俺の不幸話はひとまず置いておくとして、せっかく向かって来てくれたナルシス・ヴァンパイアを丁重におもてなしする必要があった。

 それまで、丸腰だったナルシス・ヴァンパイアが自分自身の身長ほどもある大剣を握っていた。空中に自分の血で召喚陣を描き、そこから取り出した大剣である。


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