第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 32 -宣言
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 32 -宣言
俺は一応言っておく。これだけ伝えておけば、俺の役割はおしまいだからだ。
もう今日の仕事はおしまいだというリミィを連れて、俺とカージはピッカーを呼んで事務所に戻った。
トレーニングルームへと向かうと、メンバー全員がそれぞれに基礎トレーニングをやっているところだった。
トレーナーが不在なので、ユニットとしての練習ができないでいる。
「みんな集まってくれ!」
カージがメンバーに声をかけるとすぐに全員が整列した。
こういう所は、さすがに様になってきている。
「新しいトレーナーを紹介する。彼女の名前はリミィ。こう見えても、彼女の……うぐっ!」
最後の言葉を口にする前に、リミィの右フックがカージのストマックにめり込んでいた。
学習しないやつである。
「あたしはリミィ。あんたらの先輩だ。前のトレーナーがどんなことをしていたのかは知んないけど、見る限り甘やかしていたようだね。そのふやけた面見てると反吐が出るよ。だけど安心しな。あたしが鍛え直してやる。あたしがあんたらに求めることは一つだけだ。あたしの命令に従え。疑問を持つことは許さん。挨拶は以上だ」
いきなりどこかの軍曹のようなスピーチをぶちかましたリミィ。
まぁ、この面子ならそうした方がいいのかも知れない。もちろん俺には何が正解なのかは判断できないので見守るしかない。
「あの、すみません、質問いいですか?」
小さく怖がりながらも、最初に手を上げたのはサリィだった。
「聞いてなかったのか? 疑問を持つことはゆるさんと言った。だが、まぁいい。最初だ、特別に許可する。話せ」
メンバーで一番小さなサリィより、さらに小柄な幼女体型リミィだが、迫力は十分に上だ。
「じゃあ聞きますね。……もし、メンバー内での誰かが命令に背いたりしたらどうなります?」
サリィの質問は俺も気になることではあった。
「ふん。あんたらの目標はなんだ?」
リミィはサリィの質問に質問で返す。
「そ、それは、マスター・オブ・クイーン・コンテストの優勝……ですか?」
頼りなさ気なサリィの返答であった。




