第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 23 -アイドル喰い
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 23 -アイドル喰い
「では、同じ機会があったら、またアイドルを喰うか?」
俺はさらに尋ねる。さっきのは確認で、今のが本当にしておきたかった質問である。
「ああ、喰うよ。それが、俺のやり方なんでね。どうだ、俺を使うと決めたことを早くも後悔してるんじゃないか?」
悪そうな笑みを浮かべて、カージが言った。さっきまでとは、まるで別人である。これが、本来この男の持つ顔なのだろう。
「いいや、安心したよ。その程度のことで、一々改心するような男では、到底はちみつパンプキωのプロデューサーは務まらん。ましてや、マスター・オブ・クイーン・コンテストの優勝など夢見ることすらできんだろう。はやり、あんたにこの話を持ってきたのは正解だったようだ」
俺がそう言ったのは、本心そのものであった。不可能を可能にするためには、単なる優秀なプロデューサーではダメだ。ネジが一二本くらいぶっ飛んでるくらいでなければ。
その点、この男なら申し分ない。頂点までいくか、それとも地獄へと墜落するか。おそらく、そのどちらかだろう。だが、それだからこそ、妄想を現実のものとすることが可能となるのだ。
俺の言葉に、カージはさらに強く俺の手を握り返す。
「期待してくれとは言わん、だがあんたに夢は見せてやれる。それは悪夢になるかも知れんがね」
そう言いながら、カージはまた悪そうな笑みを浮かべていた。




