第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 15 -確認
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 15 -確認
イケメンCEOから祈られてしまった。
小島はと言うと、両手を腰だめにして、よっしゃーって感じになっている。
予備予選から実力で勝ち上がっていくぞ的なプライドはないらしい。俺としても期待などしていなかったが。
まぁ、俺としては地下ダンジョンの騒ぎが収まりさえすればどうでもいい。
「最後に一つ確認していいですか?」
とりあえず目的を果たした俺は別れ際に一応確認だけしておこうと切り出した。
「もちろんですとも、なんなりと」
カガトは相変わらず爽やかな笑顔を閃かせながら応える。
「やけに手回しが良かったようですが、私のことをいつの時点で知ったのですか?」
もちろん俺は、警備員からの報告で知ったという戯言を信じているはずがない。そもそも警備員が俺のことを知るはずなどないのだから。
目の前にいる高身長のイケメンは、おそらくルートワース政府となんらかの繋がりがあるか、政界入を目指す野心家といったところだろう。
俺の直球とも言える質問に対して、カガトは初めて苦笑を浮かべる。
「どうやらお見通しのようだ。申し訳ない、最初からです」
認めた上でカガトは曖昧に応えた。どの時点からということを言わないのはおそらく意図的なのだろう。
ただ、俺との接触が意図的なものであるとした場合、肝心なことはそこではなかった。
俺はさらに突っ込んだ質問をしておくことにする。
大まかな推測はできるが、言質をとっておくのとそうでないのとは後々大きな違いになるからだ。
「何がお望みなのか、お聞かせいただけますか?」
単刀直入というにもあからさまな質問だが、それだけに効果的な質問でもある。
「さすがにその話は、この場では致しかねます。とりあえず今回は、ご挨拶がわりということで受け入れていただければ幸いかと」
イケメンに相応しい優雅な仕草でカガトは俺の質問を交わしてみせる。
まぁいい。俺の目的はとりあえず果たした。とりあえず、今日の所は一旦引き上げるとしよう。
「分かりました。それでは彼女のメンバーが待っていると思うので、これで帰らせていただきます」
俺は今度は自分から手を差し出す。日本みたいに別れる時に頭を下げるような慣習はないので、握手が別れの挨拶となる。
「こちらこそ、わざわざお時間を割いていただいて恐縮です。短かったですが、ナルセさんにお会い出来て本当によかった。また、近いうちに今度は正式な形での席をご用意します。そのときにはぜひよろしくお願いします」




