第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 13 -イケメンCEO
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 13 -イケメンCEO
俺たちの前には、車のような形をした乗り物が止まっていて俺はそれに載せられた。ちゃっかり小島も同乗してくる。
この乗り物はタクシーにあたるピッカーに似ているが、おそらく大会運営が用意した乗り物だろう。
会場はあまりに広く、歩いて移動するのは現実的ではない。
完全に自動運転化された乗り物は、俺たちを乗せたまま会場の端につける。
ここから取り調べが行われるのかと思ったが、降りた所にはスーツを着た複数の人間が立っていた。
どうも嫌な予感がする。
俺が乗り物から降りると、メガネを掛けた背の高い男が俺の前にくる。若干ムカつくことに、かなりのイケメンであった。
「手荒な真似をして大変失礼いたしましたナルセ様。私はマスター・オブ・クイーン・コンテストを主催しているシークレンス社のCEOを務めているカガトと申します」
カガトと名乗ったイケメンは握手をもとめてきた。
「どこかでお目にかかったことでも?」
俺は手を握り返さずに、まずは尋ねる。
「いえいえ、そういうことではありません。ルートワースでビジネスの世界に身を置く者にとって、あなたのこと知らない者などいません。私も、あなたの報告が警備の者から上がってきたことを受けて、慌ててこうして駆けつけてきた次第でして」
偶然にしては手回しが良すぎる気がするが、疑うような証拠などないので、とりあえず握手を受ける。
「自分は有名人などではないはずですが……。ナルセです、よろしく」
俺は簡単に挨拶をしておく。
「それで、こちらの方は?」
いつの間にか小島がカガトの側ににじり寄り、下から噛みつきそうな勢いで睨みつけてている。
「この娘は自分の友人でコジマといいます。そちらが主催される大会に出場するために、予備予選を闘っているようです」
俺は簡単に説明しておく。基本的に小島が不審者扱いされることは気にならないが、最後に尻拭いするのは俺になるわけだから無用な混乱は避けたいところだ。
「そうでしたか。それでは彼女たちの応援を?」
話の流れ的に当然そうなるだろう質問であった。
当然俺は否定するつもりだった。
わざわざ連行まがいのことまでされてまで、連れてこられたのは苦情を言うことが目的だったのだ。
もちろん、今後会場を俺の家の地下ダンジョンに設定することは止めてもらうという確約も取り付けたいところだ。




