第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 11 -プロデューサー
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 11 -プロデューサー
「俺は敏腕などではないし、そもそもプロデューサーに関する知識は皆無だ」
俺はきっぱりと言ってやる。こういうことで回りくどいことを言っていると、抜き差しならない事態になることを俺は知っている。
だがそれでも、俺はまだまだ事態を甘く見ていた。
「近い将来、全ての異世界におけるギョーカイ人が敏腕プロデューサー成瀬の名前を知ることになるわっ! 伝説のアイドルグループはちみつパンプキンωを育てたんだって!」
瞳をキラキラさせて小島が力説するが、俺としては戸惑うばかりである。
何を言ってるんだコイツというのが、正直な気持ちであった。
「こっじー、コイツ強いのか?」
唐突に話に入ってきたのは、それまでじっと黙って見ていたマッチョ系アイドルである。確かアイカとか言ってたような記憶があるが、特に関心もなかったのであまり自信はない。
「わたくしの主様です。当然ではないですか」
そこに割り込んできたのはレヴンであった。
「ふん。こんなチビの優男が? どうも信じられん。おいお前、あたいと手合わせしろ」
マッチョ系アイドルが恐ろしいことを言ってくる。アイドルが手合わせとか、一体何処をめざしているんだ?
「まぁまぁアイりん。そんなことどうでもいいじゃない。彼ってなんか可愛いし。PD的な? 可愛い男の子がやってくれるんなら、イッちゃん大歓迎だな」
割り込んできたのは、確かイチリアとかいう名前のメンバーだった。俺と身長が同じくらいで、アイドルとしてはこのメンバーの中ではまともな方だろう。
「そおいうとこだぞ、イッちゃんわっ。ほんと、可愛い系男子に弱いんだからっ! でも、あたしも嫌いじゃないけどねっ」
などと言ってペロッと舌を出して見せたのは、メンバーの中で一番小柄な女子がでてくる。確かサリィとか言った。
可愛いという点では間違いないが、美人とも普通ともつかないような、微妙な容貌を持っている。
俺が知るアイドルにも微妙な容貌の持ち主が多かった気がするので、その点では一番アイドルらしい容貌なのかも知れない。
もっとも俺の持つアイドルに関する知識など極めてスカスカなので、まるで当てになるようなものではないが。
ただなんにしても、この流れは止めておく必要があった。
このままでは満場一致で俺はプロデューサーにされかねない。
「言っとくが俺は……」
俺が話しかけた時に、邪魔が入った。




