第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 04 -制服
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 04 -制服
ライトの魔法で浮かび上がった三人の女の服装はいわゆる制服であった。
もちろん、学校の制服などではない。
たまにテレビで見かけるような、アイドルグループが着ているおそろいの服のことである。
そんな服装の女子三人が、ダンジョンの中をうろついているのだ。
違和感ありありだったし、そもそもこんな場所でそんな服装になって何をしようというのか理解に苦しむ。
まさかこれがホントの地下アイドルとかいうオヤジギャクを、身を挺してやろうとしているわけでもあるまい。
もし、そうなら。俺はこの三人ごと、このダンジョンを封印することも検討しなくてはならないだろう。
なんにしても、こいつらが何をしようとしているのか、結構真剣につきとめる必要が出てきた。
三人は俺のことにはまったく気づくことなく、最下層へと降りていく。
俺はバッドタイミングで湧いてきたグレーターデーモン三匹をひき肉にしてから後を追いかける。
俺が最下層まで降りた時には、三人の姿はすでに見えなかった。
どうやら最下層エリアのほぼ半分を締める、かつてラスボスモンスターがいた大部屋に入ったようだ。
ただ後を追いかけるにのに、問題がでてきた。
ダンジョン内が明るいのである。
ライトの魔法と違い、かなり自然光に近い光だが、もちろんこんなところに電気を引いているわけがない。
光源を見ると半透明な石が光を放っている。魔法技術による照明だった。おそらく誰かが、ルートワース辺りで購入してきて取り付けたのだ。
まったくいらんことをするヤツがいるものである。
狭い通路では身を隠す場所もなく、さすがにもう隠密行動は無理そうだった。
ここから先、隠れる必要はないだろう。
これから向かう場所に、多数の気が出現しているのを感じている。
かつてラスボスがいた場所。
そこでこれから何が始まろうとしているのか、ほぼ確信に近い仮説を立てていたが、俺としては個の目で確認するまではそうあって欲しくないと願っていた。
ラスボスの部屋に近づけば近づくほど、普通の気ではなく熱気が溢れてくるのを感じていた。
そして、俺が入口のドアを開けた瞬間、物理的な衝撃が感じられるような音楽が鳴り響く。
大きなラスボス部屋を埋めつくすたくさんの人波……と言いたいところだが、どうやらいるのは人間だけではない。




