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第02話 VSヴァンパイア!-11 - 神獣召喚2

 で、肝心のナルシス野郎はと言えば、今のに気づいたらしくよりいっそう険しい視線を俺に向けて来たものの、召喚を中断したりはしなかった。

 俺の目的はナルシス野郎の戦意を無くし、こちらの要求を飲ませることにあるのでどちらでもよかったのだが……。とはいえ、できるだけ手間の掛からないほうが、ありがたくはある。


「召喚陣が完成しました。来ます」


 俺の横でルーファが言った。以外なことに、もう震えてはいなかった。

 さて、ようやく長々と唱え続けたナルシス野郎の召喚魔法が終わり、当面の敵とご対面できるわけなのだが……。


「なんてこと……」


 ルーファが大きな目を見開いて姿を表した怪物を見ている。漆黒の体毛に覆われ、金色に輝く瞳をぎらつかせ、凶悪そうな牙が並ぶ口から赤い舌が長く垂れている。吐く息は白い氷の結晶を無数に産み、あらゆるものを凍てつかせる。なにより特徴的なのは、その体高は有に三メートルはあり、体長にいたれば五メートルを超えている。姿こそ狼であるが、まるで別のものであることは間違いない。


「あれはなんだ?」


 どうやら知っていそうなので、とりあえず俺は隣にいるルーファに聞いてみる。


「フェンリル……最凶最悪の氷の神獣……どうして、ヴァンパイアなんかに召喚できるの?」


 ルーファはあからさまな驚きを隠そうともせずに、俺の質問に答える。

 俺は、なんとなく聞いたことがある気がしたが、とくに深くは尋ねなかった。とりあえず、名前が分かればそれでよかったからだ。

 フェンリルは金色に輝く目をまっすぐ俺の方に向けている。どうやら、俺のことを最強の敵だと認識しているようだ。グルグルと喉が不気味に鳴り、牙をむき出しにした口元から漏れる息が白く大気に氷の結晶を生み出している。

 すでにフェンリルは戦闘態勢に入っている。


「くくくっ。みたか、氷の神獣だ。もうこうなれば、誰にも止められん。ゲートが失われることは正直惜しいが、私を侮辱した罪は万死に値する。貴様らまとめて死ぬがいい!」


 相変わらず、ナルシス・ヴァンパイアは格好をつけながら何やら言っている。寛大な俺としても、そろそろウザくなってきてしまった。

 だが、ウザく思ったのは俺だけではなかったようで、フェンリルが僅かにナルシス・バンバイアに視線をくれると、小さく悲鳴をあげて二三歩後ろに下がってしまう。明らかに、格の違いというやつだろう。

 まぁ、そんなことは俺にとってどうでもよかったので、こっちはこっちで用件をすませることにする。


「ここで俺がフェンリルと殺りあったら、お前らは無事じゃすまん。だから、アレを外に放り出して叩く。三十秒だ。その間持ちこたえてみせろ」


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