第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 03 -地下ダンジョン
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 03 -地下ダンジョン
さっきまでは存在していなかった。上からではなく、あきらかに別な方法でやってきたのだ。
おそらく最下層に、どこかの異世界につながるゲートが開いているのだろう。
とりあえず、俺は上から降りてくる連中に見つからないよう身を隠せる場所を探してスマホのライトを消す。
すでに気で分かっていたが、降りてきたのは三人。レヴンとシリンの二人は予想していた通りだ。
問題は残る一人で、正体は小島嘉子だった。
それを知ると正直な話、俺はこのまま引っ返したくなった。
だが、それだと騒音問題が一層深刻化することは明白なので、続ける他ないだろう。
小島が絡んでいるとなると、結構ややこしい事態になっている可能性が高い。
なんにしても、今は成り行きを見守るしかない。
俺は三人をやり過ごした後、スマホのライトを点けて追いかけて降りていく。
あっちは浮上魔法を使えるので、大穴を利用してエスカレーター式に降りていくだけでいいが、俺の方は地道にいくしかない。
それでも、まともにダンジョン攻略するよりは遥かにマシだと自分を納得させる。
なんだかんだ言っても、最下層までは一直線なので、一定距離を保ちつつ後をつけていくことは可能だ。
三人は最下層の一つ上で動きを止めた。
少し間が空いて、明かりがつく。
蛍光灯の明かりとは少し感じが違う。おそらく魔法の明かりだろう。
俺はスマホの明かりを消すと、同じ階層に降りる。
気を探りながら慎重に近づいていく。
穴が空いているのは通路の上で、近くには無傷の部屋がある。三人はどうやらその部屋にいるらしかった。
俺はもう一度スマホの明かりを消し、入口から死角になる場所まで移動して、出て来るのを待つ。
何をやっているのか知らないが、想像していた以上に時間がかかっている。
待っている間に深層部に頻繁に出没するモンスターであるグレーターデーモンが、十匹ほど現れたので潰しておいた。
湧き潰しはしておいたはずなのだが、それでも湧き出してくるということはやはり近くに異世界と繋がっているゲートが存在しているということだ。
しょせんダンジョンに湧くようなモンスターはザコなので、鬱陶しいだけでそれほど問題にはならない。逆に女子三人が出て来るのを待つ間、いい暇つぶしになった。
そんなことより問題なのは、ようやく姿を現した女三人であった。
それを見て、俺はリアルで目眩が起きる。
ここは、ジメジメとしたおどろおどろしいダンジョン内である。