第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 01 - 人口密集地
第07話 異世界アイドル選手権 前編 - 01 - 人口密集地
はっきり言って、我が家が手狭になっていたことは知っていた。
だが最終的には家にいる魑魅魍魎と化した女共を叩き出せばすむことだと、自分を無理やり納得させていた部分が大きかった。
だが本当は最初から分かっていたことだった。俺の家に居座る危険物を不法投棄すれば、近隣周辺にどれほどの脅威を与えることになるかということを。
故に、そんなことを出来るはずがなかったのである。
ここは、俺が住む街なのだから。
そこで俺はノラ・ラベッツに手狭になった家の増築をできないかと相談した。
すると、ノラは全て自分に任せて下さいと答えてきた。
俺としては別に断る理由もなかったので、任せると言ってしまったのだ。
この判断が、おそらく最大の失敗だったのだ。
俺が依頼したのは、地上は目立つのでできるだけ地下で増築してくれということであった。
すると、それをどう理解したものか、ノラが増築工事を行った結果出来上がったのは地下迷宮であった。
99層から成る地下迷宮にはご丁寧なことに、モンスターまで徘徊していた。
マッピング無しで探索すれば、帰ることすらままならなくなる。
生活の場としては誰が考えても不適格であり、こんな所に住めるのはモンスターくらいのものだろう。
俺はすぐに改修作業にとりかかる。
気砲で最深部まで直通する穴を作り、簡単に移動できるようにした。
その上でモンスターを一掃すると、きちんとした内装業者に頼んで、地下一階を人間が住みやすい環境に改修してもらう。
とんでもない出費になってしまったが、これでようやく鬱陶しかった高い人口密度が解消されることになった。
当初はそれで喜んでいたのだが、ものの三日とたたないうちに問題が発覚する。
夜な夜な地下から得体の知れない不気味な歌声が聞こえてくるようになったのである。
原因を探るため、暇そうにしているレヴンを探索に向かわせたのだが、何もなかったという答えしか帰ってこない。
ところが、次の夜になると、気の所為か聞こえてくる歌声が、若干大きくなっているような気がした。
そこで俺は、またまた暇そうにしていて、なおかつ武闘派であるシリンを探索に向かわせた。
翌朝シリンに確認したところ、レヴンと同じ答えしか帰ってこない。何もなかったということであった。
そしてこの日の夜は、気の所為などではなく、明らかにより一層騒がしくなっていた。