第06話 異世界ウォーズ 後編 - 52 - リヴォーク社へ
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 52 - リヴォーク社へ
ここでリヴォーク社と決着を付けて、日本への関与を一切やめさせることができれば、すんなりと自分の家に帰ることができる。
それでめでたく目標達成である。
俺が待っている間に、レヴンは父親のために治療のできる呪い師を手配していた。
「これで大丈夫です」
断言するようにレヴンは言い切る。結局の所、父親である魔王ゼグルスのことを信用しているのだろう。
「それでは乗り込むか」
それから一時間後、俺はレヴンと一緒にリヴォーク社の中にいた。
受付でアポイントメント代わりにメタルマンを渡すと、すんなり中に案内してくれた。
エレベーターで最上階まで昇ると、数人の男が出迎える。
見るからに警備員なのはご愛嬌といったところか。
もちろん俺のことを恐れているのだろうが、警備員では役に立たないとは思わないのだろうか?
この期に及んで覚悟が決まらないということなのかも知れない。
俺とレヴンが通された部屋は、外の様子がはっきりと分かる全面ガラス張りの部屋だった。
高所から庶民を見下ろすのが好きな、支配者タイプの人間なのだろう。
その部屋の中にいたのは男が一人だけであった。
男は俺とレヴンが入ると、一緒にきた警備員を退出させる。
部屋の中に三人だけになったことを確認して、その男が話しかけてくる。
「私がリヴォーク社CEOのコジマです。あなたがナルセ様で、この方が魔王ゼグルス陛下のご息女、レヴン殿下ですね?」
コジマと名乗った男は、俺たちが自己紹介をする前に言ってくる。色々と知っている様子だった。ただ、もうレヴンは王女殿下の地位を失っているのだが、そこまでは知らないようだ。
もちろんめんどくさいので、一々説明したりはしない。
「あなたがCEOでしたか。他の重役達はどうされたのですか?」
さすがに一人きりというのは不自然過ぎたので確認をしておく。
「ついさきほど最後の一人が逃げていきましたよ。貴方がルートワース政府に直接交渉をしかけたお陰で、我が社は極めて不味い立場に置かれてしまった。さらに、起死回生を狙ってマドゥフを消滅しようとまでしましたが、貴方には通用しなかった。これでもう打つ手がなくなった。まるで蜘蛛の子を散らすように、重役達は逃げ去ってしまいました。次は貴方が直接乗り込んでくる、そう思ったのですね」
コジマは包み隠さず説明をした。一体どういう心境からなのかは分からないが、俺にとってはどうでもいいことだ。