第06話 異世界ウォーズ 後編 - 48 - 戦いへ
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 48 - 戦いへ
さすがにこの状況にあって、レヴンは口答えはせずに俺の身を心配していた。
「俺は強い。お前が想像しているより遥かにだ。だから心配などするな」
それだけ言うと俺は上空に一旦飛翔して、一気にフェイズ2へと移行する。
強力な衝撃波が発生して、近寄ってきていた円盤をまとめて破壊する。
俺はそこから連続気弾を放ち、魔王城の入口までにいた円盤を一掃してしまう。
「いけ!」
俺が叫ぶと、レヴンは迷わず走り始めた。
それを見届けることなく、俺は不毛地帯に向けて移動を開始する。
途中大量に円盤がいたが、邪魔になるものだけを落として他は一切無視をした。
不毛地帯の上空に到達すると、魔王ゼグルスは地上に横たわっていた。
かろうじて気を感じるが、相当なダメージを受けている。有り体に言って死にかけていた。
俺の到着は遅かったが、遅過ぎはしなかったというところか。
「待たせたな。ここからは俺がやる」
地面に横たわる魔王ゼグルスの横に立ち、俺が言うと。
「我でもやれると思ったのだが、自信過剰だったようだ。どれだけお前に貸しを作ったかわからんが、たのむ」
ここまで手ひどくやられているというのに、魔王ゼグルスは何事もないかのように話しかけてきた。
これが魔王の挟持なのだろう。
「ゆっくり、そこで見ておいてくれ」
俺はそれだけ言うと、敵を正面から見る。
メタル製の銀色のボディをもった人形である。身長は俺とあまり変わらない。
つまり魔王ゼグルスにくらべて随分と小柄だった。
俺はそいつのことをメタルマンと呼ぶことにする。
メタルマンは見かけだけならば、どう見ても強そうには見えない。
だがしかし、鋭角な部分が一切ない滑らかな体には、傷一つついていなかった。
魔王ゼグルスと戦ってなお無傷なのだ。
フェイズ2の俺ですら勝てるかどうかわからない。それほどの強さということである。
だが、いつまでも見ているだけでは埒が明かない。
まずは手合わせしてみる。
一気にメタルマンの懐に飛び込むと、膝を入れてみる。
だが、そこにはメタルマンの右腕があり、膝を逸らされた。
同時に俺は左腕を上げて左からきた敵の攻撃を受け止める。受け止めながら、俺は右腕の肘をメタルマンの胸部に叩き込んだ。
俺の攻撃を受けたメタルマンの体がゆるく振動する。
その瞬間俺はメタルマンから全力で離れる。
俺の体ギリギリを強烈な光がかすめていった。