第06話 異世界ウォーズ 後編 - 47 - 暗黙の了解
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 47 - 暗黙の了解
つまり、それが返事である。
だが、単純にリヴォーク社を切り捨てたと見るべきではない。リヴォーク社の保有する兵器群は到底舐められるようなものではないからだ。
つまり、ルートワース政府は魔界マドゥフかリヴォーク社か、いずれが勝っても最悪資源はルートワース政府が直接関与するつもりでいる。つまり様子見という所だろう。
それが政治というものである。
俺はカナエ外務大臣、官僚シダと別れるとすぐに魔界へととって返すことにする。
いつ帰れるか分からないとは言ったが、想定以上にうまく事が運んだ代わりに、これから先の展開が著しく早くなった。
おそらくヴェリック社の仮面を剥ぎ取ったリヴォーク社が、後先かまわずに持てる兵力の全てを注ぎ込む覚悟で魔界へと攻めてくるだろう。
もちろんそれは、魔王ゼグルスの命を奪うためである。
簡単に倒されるような相手ではないが、だからと言って魔法技術の粋を集めた兵器を惜しげもなく投入してくればいくらと持たないだろう。
急ぐ必要があった。
もうすでに戦いが始まっている可能性もある。
俺はゲートポートの前でモリタと別れる。
ここからは別行動だ。俺とレヴンは魔王ゼグルスを守り、モリタは国交樹立に向けての準備に取り掛かる。
簡単な別れを済ますと、再び税関を通り魔界マドゥフへと向かう。
ゲートから出た瞬間、俺たちは円盤の大群に襲われた。俺が想像していたより敵の対応が迅速である。兵器を持ち込んだのは、戦争状態にある異世界経由だと思われる。おそらくリヴォーク社は最初から武力による解決を計画していたのだろう。
フェイズシフトを使わない状態で10機ほど落とすと、周囲に穴ができる。その穴をレヴンが攻撃魔法によって押し広げる。
俺は少し出来た間を使って魔王ゼグルスの気を探って位置を特定する。
どうやら魔王ゼグルスは不毛地帯の上空で何かと戦っている感じであった。
相手の気を探れないところを見ると、どうやら人ではなくマシンのようだ。
気を探った感じでは、魔王ゼグルスはずいぶんと弱っている。長時間は持ちそうになかった。
「俺はゼグルスの応援に行く。お前は魔王城に入って、ルーファと合流しろ。自分達の身を守ることだけに集中するんだ。いいな!?」
俺は有無を言わせぬ強い口調で話す。
「承知しました。ただ、主様もお気をつけください」