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第06話 異世界ウォーズ 後編 - 40 - 官僚

第06話 異世界ウォーズ 後編 - 40 - 官僚


「ようこそおいでくださいました。こちらへお座りください」


 応対するのは男で、どうやら官僚のようだ。どの辺りの地位の人間かは分からないが、すぐに出てくるということはそれほど高官というわけではないのかもしれない。

 案内してくれた黒革のイスに座ると、男は向かい側の席に腰を下ろす。


「書類の方は、別の人間が確認しておりますので、まずは簡単に今日来られた理由をお話いただけますか?」


 政治家とは違って、極めて事務的な会話からいきなり入る。

 正直この方が話が早くて助かる。


「自分は魔王ゼグルスより、ルートワースとの国交を樹立せよとの申し付けを受けましてまいりましたナルセと申します。隣にいる女性は魔王ゼグルスの娘レヴン。そして反対側にいるのが、国交樹立にあたりアドバイザーとして参加してもらっている弁護士のモリタです」


 俺は簡単な説明のついでに、簡単な自己紹介もすませておく。


「分かりました。私は外務省対外局局長のシダと申します、宜しくお願いします。ただおわかりとは思いますが、異世界間での国交は簡単に行くものではありません。正直言って、法体系が整わない国との国交は難しいと思います」


 歯に衣着せぬ言い回しで、端的に説明をしていく。ただこの辺りのことは、俺も予め承知していたことだ。魔界であり、魔王の存在というと、文明的なレベルで言えば高くない、誰もがそう判断することはわかりきっている。

 俺はモリタに目で合図を送りながら交渉を始める。


「本日来たのはそこのところです。魔界マドゥフが魔王ゼグルスによって統一されてからすでに千年以上の歳月が流れています。失礼ですが、ルートワースに統合政府が出来たのは三百年ほど前のことだと聞き及んでいます。魔界マドゥフにはそれの実に三倍以上の歴史があります。このことについて、どう思われますか?」


 俺はまず質問から切り出した。

 すると、シダと名乗る役人は戸惑い気味に聞き返してくる。


「どうと言われましても。質問の意図がよくわかりかねますが?」


 このタイミングで一枚レポートがシダの前にすっと出てくる。横からモリタが差し出したのだ。


「これを見ていただきたい。魔界マドゥフとルートワースにおける犯罪発生率の比較を年ごとにまとめたものです。これを見ると分かると思いますが、双方の間にそれほど大きな差は認められません。去年と今年に限れば魔界マドゥフの方が低いくらいだ。これを見て、どう思いますか?」


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