表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/550

第02話 VSヴァンパイア!-09 - ヴァンパイア登場2

「餌を運ぶためのゲートって……。まさか、今までたまに召喚に失敗していたことがあったのは、あなたのせいなのですか?」


 ナルシス野郎の言葉に対して、何か心当たりがあったのだろう、ルーファがそう尋ねる。


「おや? まさか、今まで気づいていなかったのですか? けっこう以前から、あなたの召喚術に相乗りさせてもらっていたのですが、横から頂いていたことに気づいていなかった、とは思いませんでしたよ」


 明らかに見られることを意識ているであろう冷ややかな微笑を浮かべて、ナルシス野郎が告げる。


「そ、それで召喚を失敗した原因がわからなかった……。彼らを餌にしていたなんて……そんなこと、許されません!」


 視線だけなら縊り殺せそうな勢いでナルシス野郎を睨みながらルーファが言う。

 衝撃の事実……というよりは、呆れた真実という言うべきだろう。

 それに、無理やり戦わされて死んでいった連中(ゆうしゃ)と、ナルシス野郎に血を抜き取られて死んでいった犠牲者。どちらの運命も選びたくないと思うのは俺だけではないだろう。


「なら、どうします? あなたが、私の餌になってくれますか?」


 すぐ横でシリンが攻撃呪文の詠唱を初めているのだが気にかける様子もなく、ナルシス野郎はルーファの(おとがい)に指をかけ、たっぷりと余裕を見せつけるようにそう言った。


「もちろん、こうします!」


 背中の方に倒れこむような格好で、ルーファが跳ねる。


「ライトニング・アロー!」


 呪文の詠唱を終えたシリンが自分の正面に杖をかざすと、その先に光の矢が出現しナルシス野郎に向かって放たれる。


「ほう? 思ったより威力がありますね」


 炭になった自分の右手を眺めながらナルシス野郎が言う。

 避けることもできただろうに、右手の平で受け止めたのだ。

 そして、左手で炭になった右手を砕くとすぐに左手が生えてきた。瞬時にと言うほどではないが、結構早い。ただ、避けるか堪えるかすれば済む話なので、凝った大道芸を見せられたような気分にしかならない。

 シリンは驚いたような表情を見せつつも、後ろに下がりながら複数の火球を同時に出現させて一斉に放つ。


「これならどう? フレイム・レイン!」


 正面から一斉に叩きつけられるかのようなファイヤーボールの嵐は、ナルシス野郎でも、まともに受けるのは危険のようで回避行動をとる。

 さすがに、すべてをかわしきることは不可能なので、左手を炭化させながらそれを受ける。左手以外はまったく無傷で受けきってしまった。

 ボロボロになった左手を砕き、また器用に左手を生やしながら、斜め右四十五度の角度でドヤ顔を決めながらナルシス野郎は宣言するように言う。


「これでわかったはずです。あなた方には、この私を斃すことなど不可能であると」


 そのセリフの後、右手でムダに長い髪をかきあげてなにやらポーズを決めていた。どうにも自分の強さか美しさに酔っているような感じである。あるいは、その両方かもしれない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ