第06話 異世界ウォーズ 後編 - 37 - ルートワース再び
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 37 - ルートワース再び
「少し待ってください。一人増えましたのでゲートを使用するためには、手続きが必要です。すぐに終わりますので……」
だが、さすがにモリタは弁護士であり、異世界とのビジネス法務をやっていただけあって、追加承認を取る作業は手慣れていた。
「終わりました。ゲートが開きます」
モリタの言葉が終わるか終わらないかのタイミングでゲートが開いた。
見かけ真っ暗なゲートは、互いの世界がゲート越しに見られないようにという配慮らしいのだが。今そんなことはどうでもいい。さっさとゲートを潜る。
すると、ゲートポートの中にでた。
俺たちが出てきたのは、第104ゲートで同じようなポートがずらっと並んでいる。
出国用のゲートと違って、入国用のゲートは承認が必要なぶん端末レベルで管理されている。そうでなければ、使えないゲートがてできた場合渋滞状態になるからだろうというのは俺の予想だ。
ゲートから次々に出てきている人は、ほぼ全員が等しく税関に向かう。手荷物検査と簡単な検疫処理を行うためだ。
ここら辺は日本の空港とそれほど変わらない。
「主様。一体ここはどういった場所なんですか?」
高度文明というものに、まったく触れたことのないレヴンが、物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回しながらそんなことを聞く。
都会に出てきたばかりの田舎者全開であった。俺としては若干恥ずかしい。
「そんなにキョロキョロ見るな。ここはゲートポートだ。異世界へたくさんの人間が行き来するための場所で、出入国は厳しく政府によって管理されている。俺達は今から税関を通り手続を済ませてルートワースに入国する」
俺はレヴンに簡単な説明をしながら、先にゲートを抜けたヴェリック社の三人を発見する。
「おい、あれを見ろ」
俺が指差した方向をモリタとレヴンの二人が見る。
「今、税関を通っていますね。これなら問題なさそうだ」
先に答えたのはモリタであった。
「税関ってなんですか? 主様」
レヴンが聞いてくる。
「入国する場合に簡単な検査をする場所だ。そんなことより、税関では一言も話すんじゃないぞ?」
俺はこれでもかというくらい短縮した説明をした後、レヴンに対して口止めをしておく。
いつもの調子を税関で発揮されたたまったものではないからだ。
それもあって、俺はレヴンを先にいかそうとする。
目の前で何かやらかそうとしたら、すぐに止められると思ったからだが。