第06話 異世界ウォーズ 後編 - 35 - 引導
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 35 - 引導
「そなたら、いい加減にするがいい。ぐちぐち話していても、いっこうに結論がてでこぬ。たまに出てきたと思ったら、何も決まらぬことを決めただけ。結局その方達では決められないではないか。もうよい、これ以上その方らと話し合うことはなかろう。こちらの方から出向くから、そなた達は何もする必要はない。このまま帰ってもらって結構だ」
まさしく歯に衣を着せぬとはこのことだった。そこまで言ったらおしまいだろ、的なところまで突っ込んだ話をする。
これぞレヴンの真骨頂であった。
また固まっているヴェリック社の連中に対して、俺は引導を渡してやることにする。
「と、偉大なる魔王ゼグルスの娘であるレヴンが申しております。とりあえず、今日のところはお引き取りください。近いうちにこちらの方から出向きますので、その時にこの続きをいたしましょう」
最初から最後まで、こちらのペースで進めてきた交渉であったが、結果的に何一つとして進展していない。
そう考えると、見ようによってはヴェリック社の粘り勝ちと言うやつも出そうな内容であった。
もっとも、俺の狙いはそこではないので、まったく問題ない。
「わ、分かりました。では、ただちに持ち帰って検討いたします」
ゲンノのその言葉を最後に、ヴェリック社の社員は俺が用意した資料を持って立ち上がる。
「お送りいたしましょうか?」
三人に向けて俺が聞くと。
「いえ、急ぎますのでけっこうです」
それだけを言い残して、三人は部屋から退出していった。
後に残ったのは、俺とモリタとレヴンの三人だ。
「まったく、礼儀知らずの連中でしたわね。何一つとして決められないのに、人の手を煩わせて。おまけに帰る時にも、黙って資料を持ち去っていかれましたわ。一言くらいあってしかるべきではありませんの?」
不満たらたらでレヴンが言った。
言いたいことはわからんではないが、俺がそう仕向けたのでなんとも言えない。
「そうむくれるな。次は留守番だ。帰りはいつになるかわからんから、後を頼む」
俺としては、もう連中と会う必要もなかろうというような意味で言ったつもりであったが。
「はぁ? 一体どういうおつもりです? だいたいわたくしを支配されたのは主様です。なのに度々わたくしをほったらかして、一人にするとはいうのはあまりに非道ではありませんか! しかも、帰りがいつになるのかわからないとはどういうことです? とても人間のすることとは思えません!」