第06話 異世界ウォーズ 後編 - 32 - 思惑
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 32 - 思惑
もちろん俺にはなんの関係もないし、ヴェリック社の連中の思惑なんて興味がない。
「では、そんなことよりお手元の資料に書いてあるとおり、魔界としてはまずルートワース政府との国交樹立を望んでおります。そのためのたたき台として、お手元にある書面を準備いたしました。そういうわけですので、大変失礼ですが一民間企業に過ぎないヴェリック社に置かれましては、現時点における直接交渉は致し兼ねます。もし宜しければ、その書類を持ち帰り、ルートワース政府にお取り次ぎいただけないでしょうか? もしできないようであれば、自分が魔王ゼグルスより預かった権限を持って直接交渉いたしますので、断ってもらってもこちらとしてはまったく問題ありません」
もちろんヴェリック社が政府とのパイプを持っているわけがないことを承知で言っている。もし、俺の提案を飲むならば、本体であるリヴォーク社が直接でてくるしかないだろう。
俺の提案にに対して、ヴェリック社の連中は三人して話し合いを始めた。
とは言え、この場で結論がでるよな物ではないことは、提案した俺が一番良く知っている。
「話し合いましたが、さすがにこれはこの場ではなんとも結論が出せません。もし宜しければなんですが、この案件に関しては持ち帰っても構わないでしょうか?」
散々話し合った結果、三人を代表してゲンノが聞いてくる。
ここまでは、俺が想定していた通りの展開になった。
「もちろんですとも。ただひとつ魔界マドゥフにおけるエネルギー資源に関しては問題が発生しています。これに関しては、今ご紹介しました書面とは別に、資料をご用意しましたので目を通してみてください」
俺は話しながら予め配っておいたのとは別の書類を全員に配った。
正面にいるヴェリック社側の三人は、書類を受け取るとすぐに中を詳しく確認し始める。
するとみるみるうちに顔色が悪くなっていくことが、手に取るようにわかった。そうなって当然の内容が書かれている。
「こ、これは一体どういうことなのでしょうか?」
さっきと同じような質問をゲンノがしてきた。だが、遥かに深刻な表情になっている。