第06話 異世界ウォーズ 後編 - 27 - 位置関係
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 27 - 位置関係
やはりモリタも同じようなことを考えていたようだ。結局の所、トカゲの尻尾を相手にしていても何も得られないということである。
「ああ、考えがないわけではない。ただ、法的な知識がなかったので、どこまでできるのかの判断がつかなかったから手控えていた」
俺が考えていたアイディアは最初に思いついたものであった。ただ、今の状況をより複雑化することになるので、手控えていたのだ。
「それはなんです? 宜しければ聞かせてもらえますか?」
俺は床の上で気持ちよさそうに転がっているレヴンを少し動かして床の上にスペースを作ると、タペストリーになっている魔界マドゥフの地図を広げる。
「魔界の地図のようですが、これが何か?」
広げた地図を見てモリタが訪ねてくる。
俺は魔王城の位置、現在異世界間戦争を行っている位置。そして広大に広がっている魔力濃度が高すぎて、生命が存在できない不毛地帯の位置を説明した。
「これが、この世界の大体の土地だ。見てのとおり、面積の大部分をこの不毛地帯が占めている。魔王ゼグルスはこの世界における支配者ではあるが、こんな広大な不能地帯すべてを管理下におくには無理がありすぎる。少なくともこの世界の魔法技術では不可能だ。現に今まで魔王ゼグルスは不毛地帯に関して、まったく管理を行ってこなかった。だから、現時点での状況はまったくわからない。つまり、すでに魔鉱石採掘に着手している企業があったとしても、魔王ゼグルスが知ることはまずできない。事後承諾的な形になったとして、そんな企業がヴェリック社との交渉開始より一足先に魔王ゼグルスと交渉に入ったとしたら、リヴォーク社はどうすると思う? 使い捨て用の武器屋でしかないヴェリック社にこの状況を解決できるだけの能力があるとは思えない。もちろんこれだけの魔鉱石資源を諦めるとするなら話は別だがね」
俺はわざわざ嫌味のように一言付け加えて話を締める。
「諦める選択肢は有りえませんね。これだけ膨大な量の魔鉱石利権を手にすれば、単なる一軍事企業から一大軍産複合体企業へと変貌を遂げることができます。政界をも動かし得る力が手に入ることでしょう。そんなチャンスがあれば、いかなる手を使ってでも取りに来ることはあれ、諦めるという選択肢は有りえません」
俺の嫌味をしっかり拾って、モリタが答えに辿り着いた。
「それで俺の考えた、具体的な計画を聞くか?」