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第06話 異世界ウォーズ 後編 - 21 - 謁見

第06話 異世界ウォーズ 後編 - 21 - 謁見


 俺はモリタに向かって急かすように言った。


「それとチロは、謁見の間にくるようにレヴンに伝えてきてくれ。ルーファには、ゲートを維持しているのは犯罪行為だからすぐに消しておくようにと言っておけ」


 見つからなければどうということはないのだが、さすがにいつまでも開きっぱなしだといずれ特定されるだろう。もちろんそうなった時は、ルーファに対して自首を勧めることになるだろう。

 チロが姿を消すと、俺はモリタと共に謁見の間に向かう。

 気を探って、魔王ゼグルスがそこにいることは分かっていた。


「い、今のは……なんなんです?」


 驚いたようにモリタが聞いてくる。


「ああ、彼女の特技みたいなものだから、気にしないでくれ」


 俺の目には普通に走って行ったように見えたが、モリタにとっては姿が消えたように映ったのだ。俺も魔界に来てモンスターや勇者とかばかりと絡んでいたので、モリタが普通の人間であることを忘れていた。すっかり油断していたようだ。


「特技……そうですか」


 モリタはどうやら自分を納得させたようである。

 魔界にいるかぎり、そういうことはどうしても増えるだろう。

 俺がモリタを連れて謁見の間に入ると、魔王ゼグルスは珍しく玉座に座っていた。

 俺が誰か連れて戻ってきたことを知り、念のために正式な謁見スタイルを整えてくれたのだろう。

 こういう気の利く所は、娘のレヴンとは大違いである。

 俺はモリタと一緒に玉座の前まで進むと黙って膝をつき頭を下げる。すると、モリタも見よう見まねで同じ格好をした。

 正直、これが正式な謁見の作法かどうかも知らず適当にやっているだけだから、知っているやつが見れば滑稽な光景だろう。ただまぁ、こういうことは様式美というやつである。はったりをかますにはこの程度のことはやっておく必要がある。


「顔をあげよ、人間」


 魔王ゼグルスは俺に付き合って、雰囲気を出してくれていた。ただし俺と違って本物であるが。


「魔王陛下、お約束した通り、交渉に必要な人材をお連れしました」


 そんな約束はしたことはないのだが、魔王ゼグルスなら問題はないだろう。


「よくやった。名はなんと申す?」


 三メートルを越す身長もあり、文字通り上から目線で睥睨しながら魔王ゼグルスが尋ねる。


「リベン法律事務所のモリタと申します。この度はお近づきになれて光栄にございます」


 さすがに慣れている様子で、モリタはスラスラと答える。


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