第06話 異世界ウォーズ 後編 - 19 - リヴォーク社
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 19 - リヴォーク社
その様子を見て、俺は急遽計画を変更することにした。
「たった今まで迷っていたんだが、モリタさん貴方を見込んでお願いしたいことがある。実はもうすぐヴェリック社の人間が異世界の代表者との再交渉を行うことになっている。おそらく向こう側は、リヴォーク社側が用意した弁護士を連れてくるはずだ。もちろん、契約を彼らにとって出来る限り有利なものとするためだ。俺はそこに立ち会うことになっているのだが、できれば法律の専門家である貴方にも立ち会って欲しい。お願いできないでないかな?」
俺の計画では、とりあえず追い返すのに必要な法的根拠を知ることができればいいと思っていたのだが、その考えが変わった。これは意外とチャンスかも知れない。この世界において、魔王ゼグルスがしっかりと基盤を築いておけば、日本への介入も行うことをも半永久的に止めることが可能になる。そのためには、ここで安易にすますわけではなく、徹底的に戦っておくのだ。リヴォーク社と。
「それはいつです?」
すぐにモリタが訪ねてくる。
「今日明日中にも」
俺は切羽詰まった感じを出すように努めながら言った。
「それはまた随分と急な話しですね……」
モリタは答えながらも手帳を開いてスケジュールの確認をしている。
すぐに立ち上がると、部屋のドアを開け首だけ出して誰かを呼んだ。
少しそのまま立ち話をして帰ってくる。
「おまたせしました。ちょうどスケジュールが空いたので、これからすぐにでもご一緒できますよ?」
そんなことをモリタが言った。ちょうど空いたのではなく、無理やり調整したのだろうが。俺はそのことにわざわざ触れたりはしない。野暮というものだからだ。
「それは助かる。それと、俺はここに来るとき急いでいたので、普通ではない方法でやっている。できればその……問題のない方法で帰りたいんだが、任せてもいいかな?」
物は言いようという言葉がある。俺はそれを活用してみる。
「ああ、なるほど……。わかりました、その辺りのことは全て私におまかせください。こう見えても専門家ですので」
察してくれたようで、モリタの方から切り出してくれた。
それから魔界に帰還するまでは、ほぼ直線的にすすんだ。時間的な制限があるからという説明がされていたと言うこともあったが、どうやらモリタはこういった事にはなれているようである。
俺の想像した通り、異世界へのゲートは専用の施設があって、そこを利用するようになっている。