第02話 VSヴァンパイア!-07 - ヴァンパイアの城2
下からずっと気を探ってはいたのだが、極端に小さいとかいうのではないのに、いるのかいないのかわるようでわからない、曖昧な気を放つ存在の正体の判断がどうにもつきかねていた。
「おそらく、ヴァンパイアもしくはその眷族だと思います」
俺の質問に答えたのはルーファであった。
ヴァンパイアという名称は知っている。
とは言っても、俺の知識は通りいっぺんなものであり、それだってどこまで当てはまるか知れたものではない。
なので、とりあえず確認だけしておくことにする。
「ヴァンパイアって、あれだろ。蛭のでかいやつだろ?」
俺の知識が正しければ、概ねこの認識で合っているはずだ。
すると、ルーファが深めのため息をつきつつ、俺の発言に対してコメントをする。
「その理屈からいったら、トカゲのでかいやつがドラゴンってことになってしまいます。ですから、だんじて違います」
俺の認識はきっぱりと否定されたわけだが、トカゲのでかいやつがドラゴンとという例えを出されたということは、方向性としては間違っていないようだと納得する。
「細かい所を除けば、だいたい理解した」
俺の宣言にたいして、エルフの二人は疑り深そうにしていたものの、結局何も言わなかった。
というのも、最上階についたからだ。
ここまでくれば、さすがに自分の目で見たほうがはるかにてっとり早いと考えられるくらいの判断力はあるようであった。
階段を登りきった先に高さが六メートルほどもある、巨大な漆黒の扉があった。
俺たち四人はその扉の正面に立っている。
「この扉は封印魔法によって封じられてるようです」
扉に手をかけてルーファが言った。
俺には理解出来ない方面の話しなので、口を出さずに黙って見ていると、ルーファは扉にどこからか取り出したペンを使って円陣と見知らぬ文字を書きつける。
見知らぬ家に許可無く上がり込んで勝手に落書きを始めたとしたら、犯罪行為のスレスレのラインから数歩以上は行き過ぎている感じだが、異世界ということで特に問題はないだろう。
なにしろここには日本の警察はいないし、そもそも日本の法律は効力を持たない。
「閉ざされし扉よ、我らが道を開け」
ルーファの呪文が終わると同時に、漆黒の扉は少々派手目に軋み音を立てながらゆっくりと開いていく。
視界が開けたその先には、どちらかと言うとありがちな、あるいはベタな光景が広がっていた。