第06話 異世界ウォーズ 後編 - 18 - 資源
第06話 異世界ウォーズ 後編 - 18 - 資源
モリタはさらに興味深そうに話の先を促した。
「問題なのは、その理由だ。彼らが売り込みに来た異世界には、生命がまともに存在しえないほど高濃度の魔力に包まれている広大な土地が広がっている」
俺がそこまで言うと、モリタは本当に身を乗り出してきた。
「と、とてつもない魔鉱石の鉱脈が存在しているってことですか……こいつはすごい」
一度つばを飲み込みながらのモリタのセリフ。明らかに目の色が変わっていた。
「俺はその異世界で、そこの支配者と様々な交渉を行っていた。ところが、新兵器を持ち込んだ連中は、兵器を渡す代わりにその土地の権利を要求してきた。その土地の権利を渡さなければ新兵器は敵のものになるとの脅しを含めて」
現実にはまだそこまで交渉は進んでいない。ただ、確実にそうなるだろうという俺の推測を含めて話しておいただけである。
「なるほど、つまりその軍事企業に採掘権をさらわれそうになった貴方は、何か法的に有効な手段はないかと考えて私の事務所を訪れた。そういうわけですな?」
モリタは俺の話しから大まかに依頼の内容を読み取って答えた。
「まぁ、そういうことだな。俺は異世界での最高責任者と交渉を重ねてきた。それなりの投資もやっている。分かっていただけると思うんだが、相手が誰であれ今更引くわけにはいかない。そういうことだ」
俺は何一つとして嘘は言ってなかった。レヴンを魔王ゼグルスから押し付けられた俺は、人生における相当な規模の負担を背負い込むことになっている。それにわざわざ此処に来たのだって、魔王ゼグルスを助けるためでもある。
「そうでしょう、そうでしょう。重々承知しております。よろしければ、その軍事企業の社名を教えていただけないでしょうか?」
モリタがようやくそのセリフを口にした。これで、半分は此処にきた目的は達成されたようなものだ。
「売り込みに来たのはヴェリック社で、扱っている武器はすべてリヴォーク社製のもの。つまり、本丸はリヴォーク社ということだ」
ここは一切隠し事はせず、あえて真実をぶつけておく。
ここで少しでも怯むような発言をするようなら、この事務所を切るつもりだった。守秘義務がある以上、情報が漏れる心配もない。
「ふむ……軍事産業三位の巨大企業ですか。いいでしょう、相手にとって不足はありません。堂々と受けて立ちましょう」
モリタは怯むどころか、逆に闘志を燃やしたようだった。