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第06話 異世界ウォーズ 後編 - 17 - 機密

第06話 異世界ウォーズ 後編 - 17 - 機密


 余裕たっぷりの態度でモリタが言った。よほど機密性には自信があるのだろう。俺個人としては、漏れたら漏れたで別段困ることはないのだが、そういうことにしておいた方が都合がいいので話を合わせておくことにする。


「お心遣い感謝いたします。それではモリタさん、初めましょうか?」


 俺は部屋の中央に置かれてあった応接セットの椅子に座る。

 モリタも俺と向かい合う形で座った。

 俺は話を始める前に、ポケットの中にから小さなキューブ状の物を取り出して目の前のテーブルに置く。


「これは?」


 当然の反応として、モリタが説明を求めてきた。


「最初に話しておく、ここから俺は礼儀抜きでざっくばらんにいく。それでいいか?」


 俺はここで態度を急変させた。もちろん意図的に。


「もちろんですとも。貴方は正式なクライアントになりました。私どもとしましてはそうしてもらうと逆にありがたいです」


 法務に携わるものとして、クライアントのことをできるだけ知ってく必要があるというのは当然のこと。もし、法的にまずい部分があるようなら、知らないことには弁護のしようがなくなる。最悪のケースは後から新事実が判明する場合で、そうなればそれまで構築してきた弁護方針が完全に瓦解する可能性すらあるのだから。

 そうなれば、クライアントを守りきれなくなるのは自明の理であった。

 俺がざっくばらんな感じを演出するのは、弁護士であるモリタに安心感を与えるためである。


「助かる。それではこれを見て欲しい。俺が異世界で見つけたコアだ。壊れてるがね」


 日本上空で戦ったときのやつだ。無傷のものとは別に、比較的損傷の少ないものをポケットの中に入れていた。


「これは、精巧なものですね。一体何に使われていたんです?」


 コアはこの世界において動力源でもあり制御装置でもある。常識的に普及しているだろうと思ったのだが、俺の推測どおりだったようだ。


「こいつは、とある軍事企業が開発した新兵器に使われていたものだ」


 俺は社名は明かさずに事実の一部を告げる。

 軍事企業と聞いた反応を見たかった。


「ほう? どうしてそんなものを?」


 モリタは興味深そうに聞いてくる。どうやら、意外と腹が座った男のようだ。


「俺が取引しようと考えている異世界に、そいつらが売り込みに来ている。正確にはその異世界と敵対している異世界の両方に、だが」


 俺が告げると。


「なるほど。典型的な死の商人というやつですな。それで?」


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