第02話 VSヴァンパイア!-06 - ヴァンパイアの城1
それからしばらく経った後。
俺たちはまったく人気のない城の階段を登っていた。
先頭をシリンにまかせて、俺は殿である。
正確に言えばシリン、ルーファ、斉藤、俺の順番で登っている。
登っている理由は、この城で唯一の気が最上階から感じらたからである。
二人までなら飛空術を使って直接侵入した方がよかったのだが、斉藤まで抱えていくことは俺の腕が二本しかないという制約上、色々と危険が多すぎる。
それに、時間はかかるが歩いていけば確実にたどり着くことができるので、無理する必要もなかった。
それに、俺が殿をやっていれば全員を確実にフォロー出来るので、大抵の場合庇護下に置くことが可能となる。
それでもさすがにフェーズ3を必要とするクラスの敵が現れたら、一瞬でこの惑星が破壊されることになるので、守りきれる自信はない。
大きな中央広間の周囲を巡る、螺旋状に続く階段は、非常になだらかであり、登りやすくはあったがかなり時間がかかった。
「な、なぁ。ここ怖わくねぇか? っていうか怖えぇよぅ。また、さっきのような怪物が襲ってくんじゃねぇの?」
斉藤が何度目かの同じ質問をしてくる。
「俺に聞いても無意味だぞ。だいたい、こんな辺鄙な世界に対して、なんの興味もないからな」
俺も、何度目かの同じ返答を返す。
前の宇宙でとことん戦いに明け暮れていた俺としては、襲ってくる敵に対して恐怖心を感じることはないのだが、さっきのような相手だと嫌悪感は抱かずにはいられない。
有り体に言って、気持ち悪いことこの上なかった。
さらに言えば、未だにワーウルフを蹴り飛ばしたズボンを履いていることが気持ち悪い。
特に潔癖症とかいうつもりはないのだが、今の文明社会に生きる日本人としては普通の感覚だろうと思う。
「さっきから、何度も何度も同じこと繰り返し言ってるんじゃないわよ。さすがにイラッとしてくるわ」
先頭を歩いていたシリンが俺の方を振り返りつつ苦情のように言ってくる。
こいつには、俺の話したことしか理解できないから、何度も聞かされると嫌味のように聞こえてくるのだろう。
もっとも、俺にそのつもりがないかと問われれば、はっきりと肯定するつもりではあったが。
関係のないことで、こんな状況に巻き込まれた人間が、嫌味を言うことくらいは許されてしかるべきだと俺は思う。
「そうか? 俺は別に気にならんが? それより、上にいるアレはなんだ?」